| まずは、うつ病とはどんな病気? その基本的な知識から--->(ウィキペディアより抜粋) うつ状態には、次のような性質のものがあります(うつ状態を呈するからといって、うつ病であるとは限らない)。 ・一過性の心理的なストレスに起因するもの(心因性のうつ、適応障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など) ・自律神経失調症・パニック障害など、他の疾患の症状としてのもの ・季節や生体リズムなど、身体の内部の変調によって生じるもの(内因性うつ病) こうした様々なうつ状態のうち、臨床場面でうつ病として扱われるのは DSM の診断基準に従って、「死別反応以外のもので、2週間以上にわたり毎日続き、生活の機能障害を呈している」というある程度の重症度を呈するものです。 また、生涯のうちにうつ病にかかる可能性については、近年の研究では15%程度という報告が多いですが、日本で2002年に行われた1600人の一般人口に対する面接調査によれば、時点有病率2%、生涯有病率6.5%とされています。 これらの研究結果から、ある時点ではだいたい50人から35人に1人、生涯の間には15人から7人に1人がうつ病にかかると考えられています。 ・「抑うつ気分」とは、気分の落ち込みや、何をしても晴れない嫌な気分や、空虚感・悲しさなどです。 ・「興味・喜びの喪失」とは、以前まで楽しめていたことにも楽しみを見いだせず、感情が麻痺した状態です。 この2つの主要症状のいずれかが、うつ病を診断するために必須の症状であるとされています。 これら主要症状に加えて、「抑うつ気分」と類似した症状として、「自分には何の価値もないと感じる無価値感」、「自殺念慮・希死念慮」などがあります。 これらのグループの症状をまとめると「気分が落ち込んで嫌な毎日であり、自分には存在している価値などなく、死にたいと思う」という訴えとなります。 「興味・喜びの喪失」と類似した症状としては、「気力の低下と易疲労性」、「集中力・思考力・決断力の低下」があります。 このグループの症状をまとめると「何をしても面白くなく、物事にとりかかる気力がなくなり、何もしていないのに疲れてしまい、考えがまとまらず小さな物事さえも決断できない」という訴えとなります。 さらにこれらの精神症状に加えて「身体的症状」として、食欲、体重、睡眠、身体的活動性の4つの領域で、顕著な減少または増加が生じます。 訴えとしては「食欲がなく体重も減り、眠れなくて、いらいらしてじっとしていれない」もしくは「変に食欲が出て食べ過ぎになり、いつも眠たく寝てばかりいて、体を動かせない」というものです。 特に睡眠と身体的活動の変化については日常生活への影響も大きくなり、仕事どころか身の回りの片付けなどにも支障が出てきます。 軽症のうつ病ではイライラしたり、少し落ち込んでいるようにみえたりするだけでうつ病体験を言語化しないことが多く(発達段階によっては出来ない)、頭痛や腹痛等の身体症状や不登校等の行動面での変化が特徴です。 精神療法は、児童期では認知行動療法、青年期では認知行動療法と対人関係療法の有効性が認められています。 家庭や学校などの日常生活における環境を整えたり、仕事の環境や仕事そのものを変えるることも、回復を促す上で有効です。 うつ病・うつ状態には、様々な分類がある。 まずうつ状態そのものの分類は大きく分けて、症状の重症度で区分する分類と、成因で区分する分類に分かれます。 DSM-III以降の米国精神医学会のうつ病分類では、うつ病性障害は、「ある程度症状の重い大うつ病」と「軽いうつ状態が続く気分変調症」に2分されています。 一方古典的分類では、疾患の成因についての判断が優先され、「心理的誘因が明確でない内因性うつ病」と、「心理的誘因が特定できる心因性うつ病」の2分法が中心となっています。 狭義には前者が“うつ病”とされ、心因性のものは“適応障害”などに分類されることが通例です。 DSMなどの症状のみで判断する分類は、客観的であり、研究には適しています。 一方、臨床場面では、心理的誘因の評価は不可欠であり、むしろ治療的にはこちらの判断のほうが重要です。 例えば、“心因性のうつ”では原因から遠ざかれば一晩で元気になる可能性もあり、治療や環境変化などへのレスポンスが大きく異なっています。 さらに、うつ病の長期経過による分類があります。 すなわち、躁状態を呈する躁うつ病、うつ病を繰り返す反復うつ病、再発のない単一エピソードうつ病の区分です。 まず、長期経過の中でうつ状態に加えて躁状態も生じる場合には、躁うつ病(別名:双極性障害)と呼ばれます。 これに対して、うつ病を繰り返し生じる場合には、反復性うつ病と呼ばれます。 この反復性うつ病は、遺伝研究などによって、躁うつ病と根本的には同一の疾患であるとされています。 一方、再発のないうつ病は、単一エピソードうつ病と呼ばれ、躁うつ病とは異なった疾患であると考えられています。 特に軽躁と鬱を繰り返す双極II型障害を単極性・反復性と誤診するケースが多くあります。 睡眠時間が短くてもすんでしまうなど現代の過酷な社会環境にむしろ適応的です。 ばりばりと働けたなどの充実感などのため、軽躁状態を患者が異状と認識せず、主治医に申告しないことによります。 双極II型障害と単極性うつは治療法が根本から異なるため、鑑別は重要な問題です。 近年増えているものに、「非定型うつ病」があります。 通常言われるうつ病の特長に対して、それとは反対に見えるうつ病の特徴を持ちます。 ・ 通常は過敏に反応することが少なく、鈍重にさえ見えることもあるうつ病が多いが、感情が反応的(うれしいことがあると気分がよくなる)に なることもあります。 ・ 食欲不振や無気力から少食となることが多いが、過食・体重増加になることもあります。 ・ 不眠とは逆に、特に朝方に過眠(10時間以上または通常より2時間以上の睡眠)となり、約束の時間に遅れることがあります。 ・ 他人の批判を恐れるあまりに、人間関係に気を使いすぎてしまい、疲労(しばしば身体が鉛のように重いと形容される)を感じます。 ・ 他人の批判に過敏で、気分の落ち込みの引き金となりやすく、親密な人間関係を築くのが困難になります。 これらの特徴は、うつ病者全体の3割程度あると見られており特に若い女性に多く見られ、非定型と呼んではいても、決して特殊な特徴ではありません。 うつ病の原因はひとりひとり異なり、過去の衝撃的な体験によるトラウマを持つことから来る場合、持って生まれた性格からじわじわと来る場合、仕事や家庭のストレスから来る場合、その他諸々の原因があります。 その原因の違いによっても、現れる症状が違い、治療のための方法や道筋も変わってきます。 したがってカウンセリングも、マニュアルに従った単純なものでうまく行くケースは少ないと思われます。 「あなたのうつ病のパターンはこうです。」ではなく、「あなたの言うことをまとめたカスタムメイドがここに出来ました。」と言うべきなんですね。 何が通常で何が特殊であるかということではなく、その人が持つ特徴をしっかり見極めることが大切であり、そこから治療を始めなければなりません。 「誰でもかかる可能性がある」「かかりやすい」ことを表した『うつ病は心の風邪』という言葉が、一部における「うつ病は放っておいても簡単に治る」「気の持ちようでなおる」という誤解に繋がっているが、風邪と違って時間がたてば自然に治る類の病ではありません。 かつては、電気けいれん療法、ロボトミーしか効果の証明された治療法がありませんでしたが、その後抗うつ薬が登場し薬物療法が発達した。過去に比べれば、うつ病に対する治療法は確立されてきています。 うつ病では、6ヶ月程度の治療で回復する症例が、60%ないし70%程度であるとされ、多くの症例が、比較的短い治療期間で回復します。 しかし、一方では25%程度の症例では、1年以上うつ状態が続くとも言われ、必ずしもすべての症例で、簡単に治療が成功するわけではありません。 また、一旦回復した後にも、再発しない症例がある一方、うつ病を繰り返す症例もあります。 このように、様々な経過をとる可能性があることは認識しておく必要があります。 再発率に関しては、うつを繰り返すたびに高くなる傾向にあり、初発の場合の次回再発率は50%、2回目の場合75%、3回目の場合は90%にも達します。 成因 うつ病の成因論には、生物学的仮説と心理的仮説があります。 心理的仮説は生理的な理由付けが無いため、科学的根拠に欠けるとの批判が存在しますが、生物学的仮説は現在は脳と精神の関係がほとんど解明されていないこともあり、治療という面でも初期の段階にあります。 ただし精神分裂病などに幾分か有効な薬が開発されているが、現在はうつ病の症状を抑える程度の薬しか存在しません。 いずれの成因論もすべてのうつ病の成因を統一的に明らかにするものではなく、学問的には、なお明確な結論は得られていません。 治療場面では、なぜうつ病になったかという問いよりも、今できることは何かを問うべきです。 この意味で、成因論は学問的関心事ではありますが、現時点では臨床場面での有用性は限定的です。 生物学的仮説は、薬物の有効性から考え出されたモノアミン仮説、MRIなどの画像診断所見に基づく仮説などがあり、現在も活発に研究が行われています。 モノアミン仮説のうち、近年はSSRIとよばれるセロトニンの代謝に関係した薬物の売り上げ増加に伴い、セロトニン仮説がよく語られる。 また近年、海馬の神経損傷も話題となっています。 ただ、臨床的治療場面を大きく変えるほどの影響力のある生物学的な基礎研究はなく、決定的な結論は得られていません。 一方心理学的・精神病理学的仮説としては、テレンバッハのメランコリー親和型性格の仮説が有名です。 これは、几帳面・生真面目・小心な性格を示すメランコリー親和型性格を持つ人が、職場での昇進などをきっかけに、責任範囲が広がると、すべてをきっちりやろうと無理を重ね、うつ病が発症するという仮説です。 つまり鬱の原因は人生問題であるというものです。 生活での悩みが鬱の原因になるという主張は、ことに反論を唱えるものはいませんが決してすべてのうつ病がこの仮説に一致する訳ではありません。 例えば家族の一員の死などで鬱になる場合でも個人差があり回復に数年と言うケースも存在します。 またまれに理由も無く深刻な鬱である場合もあります。 ただしこのような心理的仮説は、鬱を生物学的に捕らえ治療を行うという考え方に対する疑問として掲示される仮説です。 また、認知療法の立場からは、人生の経験の中で否定的思考パターンが固定化したことがうつ病と関連しているとされています。 生物学的仮説:脳の海馬領域における神経損傷仮説 うつ病の神経損傷仮説: 近年MRIなどの画像診断の進歩に伴い、うつ病において、脳の海馬領域での神経損傷があるのではないかという仮説が唱えられています。 そして、このような海馬の神経損傷には、遺伝子レベルでの基礎が存在するとも言われています。 心的外傷体験が海馬神経損傷の原因となるという仮説: また、海馬の神経損傷は幼少期の心的外傷体験を持つ症例に認められるとの研究結果から、神経損傷が幼少期の体験によってもたらされ、それがうつ病発病の基礎となっているとの仮説もあります。 心理学的仮説:病前性格論 心理学的成因仮説の代表は、病前性格論です。 うつ病にかかりやすい病前性格として、主に、メランコリー親和型性格、執着性格、循環性格、が日本では提唱されています(米英圏では強迫性)。 しかし、近年はうつ病概念の拡大や社会状況の変化に伴い、下記の性格に該当しないうつ病患者が増加しています。 メランコリー親和型性格はドイツの精神科医テレンバッハ (H. Tellenbach) が提唱したもので、秩序を愛する、几帳面、律儀、生真面目、融通が利かないなどの特徴を持ちます。 主として反復性のないうつ病を呈するとされます。 執着性格は下田光造が提唱したもので、仕事熱心、几帳面、責任感が強いなどの特徴を持つ。反復性うつ病ないし躁うつ病の病前性格の一つであるとされます。 循環性格はエルンスト・クレッチマー (E. Kretschmer) が提唱したもので、社交的で親切、温厚だが、その反面優柔不断である為、決断力が弱く、板挟み状態になりやすいという特徴を持ちます。 躁うつ病の病前性格の一つであるとされます。 |