心の健康、不健康
マクロビオティックでは、「周囲の世界がよく見えない」「情報の整理が出来ない」「正しい判断が出来ない」などというようなことを、心の不健康と呼んでいます。
桜沢如一は自著「魔法のめがね」の中で、正しいマクロビオティックを実践して「魔法のめがね」を手に入れ、正しい判断が出来るようになろう、と言っています。
「魔法のめがね」を手に入れるためには、まず正しい食生活をして身体が健康にならなければいけません。
マクロビオティックの「食養」はそのためにあります。
最近、親子、兄弟、親戚の間で殺人などのおぞましい事件が頻発しています。
学校ではいじめが、家庭では虐待が、老人や社会的弱者をくいものにしようとする人たちもあとを絶ちません。
談合や手抜き工事、ごまかし、政治資金の不透明、医者の患者への暴力、不要な治療。
子供の給食費を払わない親がいるといいます。
警察官でさえ、飲酒運転や、暴力事件、詐欺や強盗を働いて逮捕されています。
国中いたるところであってはならないことが起きています。
そして、人々の言い訳や責任のなすりあい、視聴率稼ぎだけで中身のないメディアの取り上げ方。
親も学校も、先生も教育委員会も、政治家も、専門家も、すべての大人の世界が、社会や日本という国がおかしくなっているのでは?
これはもう、国民全体が自分では気がつかないまま、心が不健康に陥っているのではないでしょうか。
世界中で起きている争いの種を見ると、人類全体が心の病に罹っているとしか思えません。
大人や社会が不健康であれば、そこで育っていく子供たちも不健康になります。
ゆっくり健康に末永く生きようと叫ばれ、「ロハス族」と呼ばれる人も増えている中、経済的な格差のほかにも健康の格差が拡大しています。
心が不健康な大人達や子供達、不健康な環境、不健康な社会がそこにあります。
子供達は、不健康な空気を吸わされて生きています。
育っていきます。
自分ではおかしいと気付かないまま、社会に適応できない人たちが増えていきます。
社会にはルールが必要で、ルールを守らない人には罰則も必要と思います。
しかしながら、心が病気になって正しい判断が出来ずにルールを守れなくなっている人たちにとって、果たして罰則は有効なのでしょうか。
どうやって健全な国や社会をどう取り戻すのかを考えなければいけないのではないでしょうか。
薬や罰則で何とかしようとするのではなく、マクロビオティックな生活をすることで身体の栄養、心の栄養を必要なだけ取り入れ、身も心も健康になってみてはいかがでしょうか。
生きている限り毎日食事を摂ります。
そこで栄養豊かなバランスのよい食事を摂れば、身体は自然に健康になり、心に余裕が出来、豊かな感性と正しい判断力が得られるようになります。
特別なことをする必要はありません。マクロビオティックは自然体です。
自然の法則にのっとった生き方を勧めています。
人として、社会人として、してはいけないこと、やらなくてはいけないことが解るようにならなければ、先に書いたようなことはなくならないでしょう。
経済的に恵まれない人にただ金銭を与えるのではなく働けるようにしてあげる。
同様に健康的に恵まれない人にただ薬を与えるのではなく健康になる方法を教えてあげる。
そんなことのほうが効果的で重要なことではないでしょうか。
教育は強いるものではなく、自ら望み受けるものです。
みんなが正しい教育を受けたいと願うようにならなければならないでしょう。
人によって健康状態が違い、不足している栄養が違うように、教育を受けるべき知識も経験も人によって違うはずです。
吸収するのに要する時間も違うでしょうし、年齢だけで教育内容が一律に決まるわけでもないでしょう。
教育改革を、というのであれば、そのこともよく考えて検討すべきだと思います。
すべてを一律に教えれば楽ですし、公平に見えます。
でも最終的にみんなが正しく生きていくのに必要な知恵を身につけることが公平なことなんですね。
同じ年代に同じことを同じ時間だけ教えるのが公平なのではないですよね。
そして子供達に教えるべきカリキュラムでは、食事や栄養に関することが最も基本的で大切でありながら、現在の教育では抜けてしまっていることです。
食事は身体や心を作り上げる基礎となるものなのに!
親子2代、3代、4代と同居する大家族時代には、親から子へ教え受け継ぐことに食事の仕方もありました。
そんな時代は心も豊かでしたね。
家族間の愛情や尊敬もありました。
今は、日本人でありながら箸の持ち方も知らない子供と大人が増えています。
それは小さなことで、どうでもいいことでしょうか。
そうではないと思いますが。
そこには日本人独特の繊細な、人に対する思いやりが含まれていたと思います。
不自由な思いをしながら、箸の持ち方を覚えていく過程に重要な意味があったはずです。
日本の伝統的な食文化のよさは、玄米食だけにあるのではありません。
マクロビオティックが言うところの「陰陽の調和」には、そんな風に広く全体を考えるようにという意味が込められているはずです。
もう一度、古きよき時代を振り返りながら、よい習慣を選び出し取り戻してみましょうよ。
そして心の健康も取り戻して、おぞましい事件を少しでも減らしていきませんか。
マクロビオティックの生い立ちや基本的な考え方と、それが心や身体や環境の健康を考える上での指針となることについてお話してきましたが、日常、私達を悩ましている具体的な病気や未病の症状については、マクロビオティックの考え方はどう役に立つのでしょうか。
現代医学では、いくつかの病状についてその原因や発症の仕組みを解明してきましたが、それを完治させることについては、化学的、薬学的処方や手術などの方法では限界があることも判っています。
多くの場合、それは病気の症状の一部を緩和するだけで、副作用も多く、決して完治させるに至っていいないのが現状です。
そこでこれまで述べてきたマクロビオティックの考え方を応用することで、病状の回復に一役買うことが出来ないのかを考えてみます。