貧血 |
|
貧血は、血液の量が少なくなるのではなく、血液中の赤血球の血色素が減るために起こる病気です。
この血色素が減るのは、血液中の鉄分が減少することが主な原因です。 ★貧血は女性に多い★ 女性は、月経や妊娠・出産など生理的な女性特有の機能ため、男性よりも血液の需要が多くなります。 当然ですが、貧血(特に鉄欠乏性貧血)が多くみられます。 20才代の女性の5人に1人が貧血状態といわれます。 また、男性の場合の貧血は、女性のように生理的な血液の需要がないので、貧血といわれたら何か別の原因を疑う必要が強くなります。 ★貧血になると体が酸欠状態になる★ 血液が赤い色をしているのは、赤血球中のヘモグロビン(血色素)のためです。 このヘモグロビンは肺で酸素と結合し、体中の細胞や組織(皮膚や筋肉など)に酸素を運びます。 ところが、何らかの原因で、このヘモグロビンが一定量(正常値)以下に減ると、酸素をこれらの細胞や組織に十分に運べなくなります。 鉄欠乏性貧血になると 酸素を運ぶヘモグロビンが減少し、体内は酸欠状態になりますが、その症状としては、めまいや息切れ・動悸に加えて、筋力の低下によって、疲れ・倦怠感・脱力感などの様々な症状がでます。 また最近では、鉄分不足が脳や心にも悪影響を与えているのでは、と考えられ始めています。 ★赤血球は他の血液成分(白血球・血小板)と一緒に骨髄で作られ、その寿命は約120日間です。 老朽化した赤血球は破壊され、ヘモグロビンは鉄・蛋白質・色素に分解され再び体内で利用されます。 この赤血球の生成から分解までの課程で何らかの障害が加わると、ヘモグロビンが減少し、貧血がおこるのです。 ヘモグロビンの減少によって貧血状態にある血液は赤みがうすれ、粘り気のない水のような状態になります。 ヘモグロビンが減少する理由としては、赤血球数の減少に伴うものと、赤血球数が正常でもヘモグロビン自体が減少する場合も考えられます。 ★貧血の原因には、血液自体の原因によるものと血液の病気以外によるものがあります。 血液自体によるもので、比較的治りやすい鉄欠乏性貧血や悪性貧血などの血液を作り出すときに必要な物質が欠乏して起こる貧血です。 鉄欠乏性貧血は貧血の中でも最も多く、女性が生理的機能で鉄分を失うために多く現れます。 悪性貧血は、赤血球をつくる栄養分のビタミンB12や葉酸の吸収に必要な物質が、胃の粘膜の萎縮のために分泌されなくなっておこります。 現在は、ビタミン注射療法により悪性ではなくなりましたが、中年以降にみられます。 また、赤血球の体内での寿命が短くなり、壊れやすくなるのが溶血性貧血で、血色素や酵素・赤血球膜の先天的異常によるものと、抗体の作用で後天的に赤血球が壊れるものとがあります。 再生不良性貧血は、骨髄の造血力が低下して血球が産生されなくなり、赤血球ばかりでなく白血球や血小板も減少します。 血液以外の原因で起こる貧血は続発性貧血と呼ばれ、貧血の原因となる病気が治れば貧血も解消されます。 ★貧血の中でも特に多いのが鉄欠乏性貧血です。 鉄は体の中に酸素を運ぶヘモグロビンを作るのに必要不可欠です。 血液100ml中に約40mgの鉄が含まれています。 体重が60kgの健康な男性で約3~4gの鉄が含まれていることになります。 これはわずかな量ですが、役割は大変重要です。 鉄が欠乏状態になると、その影響は全身に及ぶことになります。 鉄の体内での働き (60kgの人の場合) 1)赤血球内で酸素運搬の仕事・・・・ヘモグロビン 2300mg 2)筋肉で酸素運搬貯蔵の仕事をする・・・ミオグロビン 130mg 3)鉄需要の増加時の補給に備えて肝臓・脾臓・骨髄中に貯える・・・フェリチン・ヘモジデリン(貯蔵鉄) 1000mg ※貯蔵鉄には個人差がありますが、生理機能年代(20~50才代)の女性は男性の1/2以下。 4)血管内で鉄の運搬役をする・・・トランスフェリン(血漿鉄) 3mg ※トランスフェリンの働きは、寿命が老朽化した赤血球から放出された鉄を受け取り、骨髄に運び再利用したり、若い赤血球や発育中の細胞に鉄を運ぶ、また余分な鉄を貯蔵庫(肝臓・脾臓・骨髄)へ運ぶ。 5)組織細胞内で栄養素の酸化とエネルギー放出の仕事・・・・ヘム酵素 8mg 6)その他微量の鉄が酵素に含まれる ヘム鉄と非ヘム鉄 ヘムは、2価の鉄原子とポルフィリンから成る錯体で、通常、2価の鉄とIX型プロトポルフィリンからなるプロトヘムであるフェロヘムのことを指します。 ヘモグロビンやシトクロム、カタラーゼなどのヘムタンパク質の補欠分子族として構成され、ヘモグロビンは、ヘムとグロビンから成ります。 ヘムの鉄原子が酸素分子と結合することで、ヘモグロビンは酸素を運搬しています。 酸素を体中に運ぶ鉄を機能鉄といい、残りは機能鉄の不足を補うために肝臓などに蓄えられる貯蔵鉄です。 機能鉄は、赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンの成分となって、体の各器官に酸素を運びます。 貧血の症状は機能鉄の不足で起きるのではなく、貯蔵鉄が不足して初めて表れ、疲れや息切れ、動悸、めまい、頭痛などが生じてきます。。 このようなはっきりした症状が出なくても、機能鉄が不足していることもあります。 健康な成人男子では4gの鉄が存在していますが、1日に約1mg失われていきます。毎日失われる鉄はその分食事で補給しなければなりません。 食品に含まれる鉄には、肉や魚などの動物性食品に多いヘム鉄と、野菜や穀類に含まれる非ヘム鉄があります。 非ヘム鉄は三価鉄という形をとっており、これはサビや無機鉄の鉄イオンの仲間で腸管から吸収される際に食物繊維やタンニンなどの吸収阻害を受け、消化吸収されにくい構造になっています。 さらに通常存在する安定な3価の鉄イオン(Fe3+)ではなく、消化管内で動物性タンパク質に含まれる消化酵素やビタミンC、胃酸などの還元物質により2価の鉄イオン(Fe2+)にならないと吸収されません。 また、鉄がむき出しのままなので胃壁や腸管を荒らすといった作用があります。 ヘム鉄は鉄ポルフィリン複合体に囲まれたまま吸収されるため、このような吸収阻害を受けず、さらにヘムオキシゲナーゼで吸収量を調節していますので鉄の過剰摂取の心配がありません。 ヘム鉄は身体に優しい鉄素材です。 日本人が摂取する多くが非ヘム鉄といわれています。 これは肉類よりも野菜や穀物、海藻などから鉄を摂る割合が高いからです。 当然これら非ヘム鉄はヘム鉄より吸収効率が劣るわけですから、食べている鉄量は多くても意外に吸収されていないということになります。 ヘム鉄の吸収率は15~25%ですが、非ヘム鉄は2~5%しかありませんが、ビタミンCや動物性たんぱく質を多く含む食品と一緒に摂ることにより一層吸収されやすくなるという特徴もあります。 このほか葉酸やビタミンB12も赤血球が作られるのに関与しています。 要はバランスの良い食事が大切なのです。 鉄の1日の必要量は、成人男性が10mg,成人女性で12mgですが、女性は毎月の生理で20mgもの鉄が失われてしまいます。 そのため女性は潜在的な欠乏症になりやすく、男性以上に積極的に鉄を補給する必要があります。 しかし日常の食事を通して鉄を摂るとなると、牛レバーならおよそ7kgも食べなければなりません。 ヘム鉄は普段の食生活ではなかなか摂りにくい栄養素ですので、健康食品などで積極的に補うことをオススメします。 ビタミンCは一日に約50mgが必要量とされています。 ビタミンCは果物、野菜に多く含まれていますが、熱に弱く水に溶けやすいため保存、調理の仕方が適切でないと大部分が失われてしまいます。 たとえばホウレンソウは3分加熱するとビタミンCは半分になり、ゆでて水に30分漬けておくと90%が失われます。 また大根オロシは作って20分で20%が消失してしまいます。 ですから野菜類は加熱時間を短くする必要があります。 水を使う必要のない電子レンジの利用も有効です。 また加熱後、水にさらす必要のない油いためなども良い調理法です。 赤血球を作るのに必要な鉄は一日に20~30mgで、一日に食べ物から吸収される量の20~30倍にもなりますが、それにもかかわらず、なぜ貧血にならないかというと、寿命がきて破壊された赤血球に含まれるヘモグロビンが再利用されて体内を循環しているからです。 ☆ヘモグロビンの体内での再利用☆ ヘモグロビンを分解すると 鉄・蛋白質・色素に分かれます 鉄 骨髄に再び運ばれてヘモグロビンの合成に働く 蛋白質 肝臓に運ばれて新しい蛋白質の合成に働く 色素 ビリルビンになって胆汁に含まれ 脂肪の消化に働く このように、正常な人では鉄不足になることがないのですが、鉄欠乏性貧血になる原因としては次のようなものがあげられます。 摂取不足-まちがったダイエットや偏食などにより鉄の摂取が少ない。 吸収不全-胃腸障害・胃腸の手術後 需要の増大-妊娠・分娩・授乳期 成長期 過剰な鉄の損失-生理出血(月経過多)他の病気に伴う慢性出血 鉄欠乏性貧血と食事 完全な鉄欠乏性貧血では、鉄剤の服用や場合によっては静脈注射による鉄剤の補給が必要です。 しかし、軽い鉄欠乏性貧血では、鉄分を多く含む食品を摂取することで回復に向かいます。 鉄分を効率よくとるポイント 動物性食品と植物性食品をバランス良く摂る 豆類や野菜・海藻といった非ヘム鉄を含む食品と一緒に食べると吸収率はさらにあがります。 動物性食品(主にヘム鉄を含む) 肉類(牛・豚・鶏・馬)・レバー・赤身の魚(ニシン・イワシ・マグロ・カツオなど)・魚介類(ホタルイカ・カキ・エビ・アサリなど・卵黄) 植物性食品(主に非ヘム鉄を含む) 海草類(あおのり・やきのり・ひじき・ワカメ・昆布など)・野菜(ほうれん草・パセリ・ニラなどの葉野菜・切り干し大根・とうがらし)・アーモンド・ピーナツ・ゴマ・大豆・そら豆)・果物(アプリコット・プラム・レーズン)・ 非ヘム鉄の吸収率を高めるための条件は次のとおりです。 肉(赤身)や魚の摂取量が、1食につき90gより多いこと ビタミンCの摂取量が、1食につき75mgより多いこと 肉(赤身)や魚の摂取量が、30~90mgで、かつビタミンCが25~75mgであること 以上3つのいずれかの条件を満たせば、非ヘム鉄の吸収率が約2~4倍も高くなります。 ほうれん草は貧血気味の人の強い味方、各種ビタミン、ミネラル類が豊富なほうれん草。 ビタミンAは120グラム(約6枚分)も食べれば1日の必要量をカバーでき、ヨーロッパでは”胃腸のほうき”といわれ、消化吸収のよい食物繊維が胃腸を整え、便通をよくします。 蛋白質・ビタミンB12・B2・B6・葉酸・銅を含む食品を摂る 鉄の他に、健康な赤血球を作るために、蛋白質を摂ることや造血作用のあるビタミンB12・B2・B6・葉酸・銅を多く含む食品を摂ることが大切です。 蛋白質食品には鉄の吸収を促進する働きがあります。 特に魚介類・肉・牛乳・乳製品などはシスチィンなどの還元作用のあるアミノ酸を含み これは三価の鉄を二価の鉄に変え吸収を良くする働きがあります。 ☆ビタミンB12を含む食品 肉類・レバー・貝類・チーズ・粉乳・納豆・卵黄 ☆葉酸を含む食品 ほうれん草などの緑黄色野菜 ☆銅を含む食品 ココア・牛レバー・大豆・ かき貝・きくらげ・チョコレート ☆ビタミンB2を含む食品 レバー・卵黄・春菊・ほうれん草・にら・セロリ・干椎茸・胚芽米 ☆ビタミンB6を含む食品 牛レバー・鶏肉・鮭・ヒラメ・イワシ・バナナ ビタミンCを摂る ビタミンCは鉄の吸収を高めます。 新鮮な芋類・野菜や果物を一緒に摂ることです。 ※ ビタミンCには還元作用があり、三価の鉄を二価の鉄に変え吸収を良くする働きがあります。 おもに非ヘム鉄を吸収されやすい形に変える作用があります。 少量のアルコールは鉄分の吸収を良くしますが、飲み過ぎると逆に吸収を悪くします。 適量のアルコールを守りましょう。 鉄はタンニンと結合するとタンニン鉄となり、水に溶けずに吸収が悪くなります。 タンニンを含むコーヒー・紅茶・緑茶は、食事の30前後は控えましょう。 胃液の分泌が良いと鉄の吸収もよくなります。 良く噛んで、ゆっくりとおいしく食べることが鉄の吸収を助けます。 また、酢・柑橘類・香辛料は胃の粘膜を刺激し、胃液の分泌を亢進し鉄の吸収がよくなります。 欠食すると必要な栄養分が十分に摂りにくくなります。 規則正しく3回の食事を摂るようにしましょう。 《食品中の鉄の含有量》 -5訂食品成分表より- 食品 鉄量(mg) あさり水煮缶 30g 11.3mg 焼きのり 一枚 0.1mg 乾燥ひじき 大さじ2杯 5.5mg 豚レバー 60g 7.8mg パセリ 10g 0.8mg いわし丸干し 2尾 1.8mg ほうれん草 1/3束 2.0mg 茹で大豆 100g 2.0mg 卵 1個 0.9mg ゴマ 大匙山盛 1.8mg 切り干し大根 20g 1.9mg ほっき貝 50g 2.2mg かき貝むき身 50g 1.0mg キハダマグロ 50g 1.0mg 小松菜 100g 2.8mg 春菊 100g 1.7mg 鉄製の調理器具を使う 鉄製のフライパンや鍋・包丁などの調理器具を使うと、微量ですが器具から鉄が溶けだし、その鉄分は腸管での鉄の吸収がよいといわれています。 また、調理する際に酢やトマトケチャップなどの酸味調味料を使うと さらに鉄がとけだします。 <貧血予防の料理> ☆カキとほうれん草のグラタン・・・カキ貝・ほうれん草・白ワイン・バター・小麦粉・牛乳・粉チーズ ☆レバーと小松菜の炒め物・・・鶏レバー・小松菜・ニンニク・ネギ・生姜汁・醤油・油 ☆ひじきのサラダ・・・ひじき・人参・胡瓜・ハム・あさり貝・貝割大根・ゴマドレッシング ☆レバーのフライマスタード風味・・・豚レバー・練辛し・塩胡椒・油・溶き卵・小麦粉・パン粉 ☆春菊のゴマ和え・・・春菊・人参・ゴマ・醤油・黒砂糖 |