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腎臓病
腎臓は体の左右にひとつずつあり、大きさは握り拳くらいで、そら豆のような形をした重さ150gほどの臓器で、表面を硬い皮膜で覆われその上をさらに厚い脂肪が囲んでいます。
このように大切に保護されているのも、腎臓が体の中でとても重要な臓器であるためです。
腎臓は一度悪化すると回復が難しい臓器です。
自覚症状はあまりありませんがだるい・食欲がないなどが続き、病院にかかったときには、すでに「慢性腎不全」であることもあり、慢性腎不全末期になると人工透析に頼らなければ体内の調節ができなくなってしまいます。
このようなことを予防するためにも、原因となる病気の予防や早期の発見が必要です。
腎臓は体のすみずみに行き渡っている血液の浄化をする働きをしています。
心臓から送り出された血液は、4〜5分に一度の割合で腎臓を通過します。
腎臓に入った動脈は細かく枝分かれしていて小さな糸の塊(糸球体)を形作っています。
この糸球体は片方の腎臓に100万個、両方の腎臓を合わせると200万個もあり、ここで血液を濾過しています。
糸球体を通過したものが原尿で、一日に約160〜170リットルもあり、ほぼドラム缶一本分にもなります。
この原尿の中には、通過できなかった血液中の大きな成分の赤血球や蛋白質以外の水分・ブドウ糖・アミノ酸・ナトリウム・カリウム・ビタミン・その他の電解質などが含まれています。
そこで、それぞれの糸球体を包む袋に濾過された原尿は、尿細管と呼ばれる細く長い管を通って腎盂に集まって来る間に体の調子に合わせて成分を選り分け、必要な水分や栄養分・電解質など、実に99%以上を再び血液に吸収し、老廃物や有害物質・いらない水分を尿として体外へ排泄させています。
このように、腎臓の働きは単に尿をつくるのではなく物質を選り分け、必要な物質を再吸収し、不要な物質を排泄し、体液を一定に保ち良い環境づくりをするという役目を果たしているのです。
たくさんある腎臓病の中でも多いのが、腎炎・ネフローゼ・糖尿病性腎症・腎不全などです。
腎臓病は一部の急性疾患を除いて、通常、一端機能が低下してしまうと元には戻りません。
しかも確実に進行していき、最終的に「慢性腎不全」となり、それが限界になると人工透析が必要になります。
人工透析となると、週に2〜3回、一日4〜6時間生涯透析を続けなけれならなくなります。
慢性腎不全は年々増加傾向にあり、しかも透析患者は毎年1万人くらいずつ増えていると言われています。
検査を定期的に受け、原因となる疾患を早期に発見し、「慢性腎不全」にまで進行しないために早期の管理治療が必要です。
「慢性腎不全」は何が原因でおこるのでしょうか? 原因の約4割を占めるのが慢性腎炎からの移行です。
慢性腎炎は、暴飲・暴食・寝不足・風邪などがきっかけとなると言われます。
長い間風邪をひいていたり、風邪薬を長期服用していたり、疲労が重なったりが原因で腎臓病になるということがあるのです。
また糖尿病性腎症の進行によるものも多く、最近の糖尿病の増加に伴って増える傾向にあります。
この場合は糖尿病の管理が悪いことが原因となるので、糖尿病の段階できちんとした食事や運動による生活管理をして合併症を起こさないようにすることが重要となります。
高血圧が原因で腎硬化症となり、さらに慢性腎不全と移行する場合もあります。
腎臓病ばかりでなく高血圧は他の生活習慣病の原因にもなるので早期に治療が必要となります
高血圧が続くと血管が動脈硬化をひき起こし腎臓を悪くするために起こります。
また、痛風が進行したために腎疾患を起こすこともあります。
腎臓病の発見のためには尿中の蛋白量・赤血球・白血球・細菌の有無を調べます。
正常の尿には蛋白質・赤血球・白血球はみられませんが、腎臓に病気があると糸球体や尿細管から血液成分が漏れて尿中に排泄されます。
また腎機能の検査としては糸球体の機能・腎臓の血流量・尿細管の機能の検査をしますが、糸球体の機能を調べるために「クリアランス試験」を行いますが、これは糸球体で濾過される血液量を測定する検査です。
また、通常、尿中に捨てられるはずの尿素窒素・クレアチニン・尿酸などの老廃物が血液中に増えることも腎臓病の疑いが持たれます。
また尿の量や色も重要で、一日の量が500ml以下になると乏尿と呼び、急性腎炎やネフローゼ症候群などが疑われます。
腎臓病において「食事療法」は非常に大切です。
腎臓病では、糸球体がおかされるために血液の濾過作用がうまくおこなわれず、水分やナトリウムが体内に溜まりやすい状態になります。
同時に、尿中に出されるはずの老廃物が体内に増えてきます。
その結果、窒素が血液中に増えて尿毒症の原因となったり、ナトリウムが増えて高血圧になったりということがおこります。
そのため食事療法では、適正な「塩分」「水分」「蛋白質」「エネルギー量」を維持することが必要となります。
腎臓病があっても、高血圧や浮腫(むくみ)のない人は無理に塩分の制限をする必要はありません。
しかし、日本人の塩分の摂取量は多く、10g以下にすることはたとえ高血圧や浮腫がなくても必要です。
高血圧や浮腫のある人は塩分制限が必要で、それは腎蔵の機能の状態に応じた量となり、医師の指示に従います。
普通は一日に5〜7g程度の制限となります。
自分勝手に厳しすぎる塩分の制限をすることはかえって良くないときがあります。
多尿期には低ナトリウム血症にならないように、かえって必要になる場合もあります。
蛋白質は三代栄養素のひとつで、体にとってとても重要な働きをするものです。
しかし、腎臓病では蛋白質の制限が特に重要で、蛋白質の量が多くなると腎臓にかなりの負担をかけてしまいます。
腎不全の人は、これ以上腎機能を悪化させないように蛋白質の摂取量を、栄養障害が起こらない範囲での制限が必要となります。
通常は、一日に20〜40g程度の制限になることが多くなります。
蛋白質制限をしっかりとおこなうことは、腎臓の働きを助けるために大変効果的で、すぐにも透析をしなければならない人が、低蛋白の維持によって5〜6年も透析をしなくて済んだ場合もあるくらいです。
また、尿中にたくさんの蛋白質が流れ出て血液中から失われてしまう「ネフローゼ症候群」では、これを補うためにこれまでは高蛋白質食にするのが通常でしたが、最近ではかえって腎臓を痛めて症状を悪くすることが解り、逆に軽い蛋白制限にするようになってきています。
蛋白質は制限されていても、動物性蛋白質(プロテインスコアの高い蛋白質)を適度に取り入れていくようにします。
人が生活するためには一日約2000kcalほどのエネルギー摂取が必要となりますが、腎臓病、特に腎不全の場合は、きびしい食事制限で食欲も低下しエネルギー不足になりがちです。
それに蛋白質の制限により、蛋白質からエネルギーを得ることが出来ないため、更にエネルギーが不足しがちになります。
しかし、エネルギーを十分に摂ることは、同じ量の蛋白質を摂っていても老廃物や毒素に相当する尿素の発生が少ないと言われています。
これを「熱量の蛋白節約作用」と呼びます。
エネルギーが十分になると蛋白質の分解が少なくなり、尿素の発生が少なくなるためです。
それは、脂肪と糖質で十分にエネルギーを摂ることになり、特に腎不全では蛋白制限以上に適正なエネルギーを摂ることが重要と言われています。
このためには、普段の食事の中でだけでは難しいので、腎臓病の特殊食品としていろいろな高エネルギー低蛋白食品が開発されてきています。
浮腫が酷い時や尿量が少なすぎるときは、塩分だけでなく水分の制限も重要となります。
この場合、飲み水だけではなく食品に含まれる水分量も含めます。
浮腫がなかったり、軽い場合は塩分制限だけになります。
この場合の水分制限は、病気の状態や尿量により医師が判断します。
脱水になると、かえって腎臓の機能低下に繋がるので、自分勝手な制限はしてはいけません。
ネフローゼ症候群ではナトリウムやカリウム代謝に欠くことの出来ないホルモン(アルドステロン)の分泌過剰がありカリウムが失われることがあります。
一方、腎不全では濾過量が減り、尿細管での再吸収や排泄機能の障害によって、高カリウム血症の危険がおこります。
この場合はカリウムの制限が必要になります。
また、腎不全によって、糸球体濾過率が正常の1/4以下になると血液中の無機リン値が上昇します。
このような高リン酸血症がおこると、腸からのカルシウムの吸収が低下して低カルシウム血症がおこります。
このような高リン酸血症では、食品中のリン値を制限します。 カリウム・リンが制限される場合、カリウムやリンの高い食品を制限することになるわけですが、カリウムやリンを含むものには蛋白質が多いということもあり、蛋白質制限をしっかりしていれば通常はカリウム・リンの値は低くなります。
カリウム制限が厳しい場合は、カリウムは水に溶けやすいので「茹でこぼす」「浸水する」などによってカリウムを下げます。
各腎臓病の食事療法 急性腎炎は糸球体が急性の炎症を起こした状態で「急性糸球体腎炎」とも言われます。
原因の多くは「溶血性連鎖球菌(溶連菌)」の感染がもっとも多く、風邪・扁桃炎・猩紅熱などと診断された後、治療によって症状が消えた頃起こることが多い腎炎です。
この場合、風邪や扁桃炎によって毒素が血液中を巡り、腎臓において抗原抗体反応によって起こった腎炎で、症状として浮腫・蛋白尿・血尿・高血圧を伴うことがあります。
大人では極期を過ぎると1〜3ケ月後に治ることが多いのですが、中には急性炎症が続いたり慢性腎炎へ移行することもあります。
治療は安静・保温・食事・薬物療法となり、食事療法では高カロリー・低蛋白・減塩・水分制限を症状に応じておこないます。
急性腎炎が治らず一年以上も経過した場合と、最初から健康診断などで慢性腎炎と診断される場合の2タイプがありますが、通常後者のタイプが圧倒的に多くみられます。
はじめから慢性腎炎と診断されるタイプでは、いくつかの原因が複雑に絡み合っておこると考えられますが(血液循環障害・高血圧・糸球体のアレルギー反応など)、腎炎がおこると糸球体を流れる血液が血行を妨げられ、時には毛細血管が詰まって血液が流れなくなります。
慢性腎炎の10%は経過中に治癒、50%は臨床的にほとんど進行しない、残りの40%ほどが進行するタイプのもので、進行するタイプの約半数は透析へと移行すると言われます。
症状は多種多様で、軽いものではなんの異常もみられないばあいもありますが、慢性・急性腎炎では腎臓の血管(特に動脈)が病変をおこすため、高血圧が通常みられます。
それ以外にも蛋白尿・血尿・浮腫・貧血などの症状がでる場合もあります。
治療は安静・食事・薬物療法となり、食事療法では状態によって異なり、腎臓の機能が正常なときは常食で可能ですが、高血圧・ネフローゼ症候群があれば、塩分制限や蛋白の適正量摂取となり腎臓の機能が低下していれば、蛋白・塩分・カリウム制限が必要になります。
ネフローゼでは必ず高度の蛋白尿と低蛋白血症がみられます。
それに加えて、時には浮腫や高コレステロール血症・高脂血症がみられます。
蛋白尿では、血漿蛋白の中でも分子量の小さいものほど透過しやすいので、アルブミンが尿中に出やすい傾向があります。
低蛋白血症では、尿中に蛋白質が大量に排泄されることにより、血液中の蛋白質が減ることが原因でおこります。
この場合も特に低アルブミン血症がおこります。
食事療法は高蛋白・高カロリー・塩分制限ですが、腎機能の症状に応じて異なります。
ネフローゼの初期には、浮腫が現れた場合は塩分・水分の制限をします。
蛋白尿や低蛋白血症があるので蛋白の制限はしません。
エネルギーは十分に摂ります。
脂肪は、高コレステロール血症があるときは低コレステロール食で、不飽和脂肪酸を多く摂るようにします。
糖尿病の3大合併症は「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経症」です。
糖尿病は全身の最小血管に障害がおこりますが、長い間、高い血糖が放置され、これに他のホルモン異常、代謝異常が加わり疾患がおこります。
これが糸球体に起こったのが糖尿病性腎症です。
糖尿病性腎症では、「血糖コントロール」をおこないながら血管の動脈硬化を起こす「高血圧」のコントロールも同時におこないます。
よって糖尿病性腎症の食事療法は、糖尿病の食事制限の中心である「エネルギー制限」を基礎にしながら、高血圧の治療や腎臓の機能を考慮し「塩分制限」「蛋白制限」「カリウム制限」を同時におこなうことになります。
したがって、同じ指示エネルギーの中で「蛋白質」からのエネルギーを減らすことになり、「糖質」・「脂質」が増えることになります。
長い間、糖尿病のエネルギー制限により「糖質」「脂質」をかなり制限されてきた人にとっては、ここで今まで制限してきた「糖質」「脂質」が増えてしまうので戸惑わないようにすることが必要です。
<糖尿病性腎症の例>
慢性腎不全の原因は上記に記述したとおりで、慢性腎不全に至らないためには原因となる病気を悪化させないことが大切となります。
慢性腎不全になると不要物質を体外にすることができないので、血液中の残余窒素の量(BUN)が増えてしまいます。
また、健康時には血液や細胞の中に一定量存在するナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・クローム・リンなどの電解質が過剰、または不足状態になります。
水分の排泄や調節も出来なくなり、いろいろな要素が絡み合い最終的には尿毒症がおこってきます。
食事の治療方針は、水分・塩分・蛋白質制限 糖質・脂肪によるエネルギーを十分に摂ることを主としたものになります。
また、尿量がかなり減少したときには、カリウム制限が必要になります。
腎不全のために、糸球体濾過率の低下によって高リン血症がおこっている場合は、低リン食にする必要があります。
慢性腎不全では腎臓の糸球体濾過機能(BFR)の面から4期に分類されます。
食事の制限もそれぞれの状態に合わせて異なります。
1期−−腎予備能減少期
2期−−腎機能障害期(代償期)
3期−−腎機能障害期・腎不全(非代償期)
4期−−尿毒症期 腎不全が重くなると透析をおこないます。
血液透析の場合、透析液と血液を、透析膜を介して接触させ、体内から老廃物や水分を除き、必要な物を逆に体内に送り込むようにします。
血液透析は、通常一週間に2〜3回、一回4〜6時間おこなわれます。
血液透析を始めたときの食事管理は、おこなう前より蛋白質の制限は解除されますが、尿量が減るため「減塩・カリウム・リン・水分」は厳重に制限されます。
腎臓病の食事療法においては、「高カロリー」「低蛋白」 また「低ナトリウム」「低カリウム」「低リン」など制限が多くなると通常の食事の中では難しい面が多く、このような時のために「腎臓病のための治療用特殊食品」が市販されています。
高カロリー低蛋白・・・粉飴・マクトンパウダー(オイル)・低蛋白(ごはん・パン・そば・うどん・低蛋白米・餅・小麦粉・菓子)・ホットケーキ粉
低塩・・・減塩(醤油・味噌・マヨネーズ・ケチャッブ・ドレッシング)
低リン・・・ミルク・菓子 カルシウム強化・・菓子
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