じゃがいも

Solanum tuberosum
potato(英)
pomme de terre(仏f)
馬鈴薯(和) じゃがいも(じゃが芋) 
旬の季節:春芋(5.6月)、秋芋(10.11月)
ナス科の多年草。
原産地は南アメリカのアンデス山系地域で、この地方には多くの野生種があります。
16世紀頃、ヨーロッパに伝わり、日本には1598年(慶長3)にジャガタラ(現:ジャカルタ)港からオランダ船によって長崎に伝えられたといわれています。 

寒さに強く栽培や貯蔵が容易(新じゃがは水分が多いため長期保存はきかない)なので、日本では北海道が全生産量の50%以上を占めています。
男爵、メークイン、農林1号、紅丸、出島など20種類以上が栽培されています。
新ジャガとは小型で丸く皮が薄く、水っぽい春芋のこと。 
水分が約80%、糖質約17%、タンパク質約2%、ミネラルはリンとカリウム、ビタミンCが豊富です。
また「カリウムの王様」といわれるほど、多量のカリウムを含有しています。 
ビタミンCは、コラーゲンの合成を促し、粘膜にできた潰瘍を治したり予防するのに欠かせないビタミン。
風邪の予防、ストレスに対する抵抗力を高める、ストレスによって作り出された活性酸素の排除に大きな効果を発揮します。
カリウムは余分な塩分を体外に排出し、血圧を安定させるので高血圧の予防、腎臓機能低下に効果があり、利尿剤を使っている人やむくみのある人、妊娠中毒症予防にも応用されています。
皮に含まれるクロロゲン酸は、ガンに直結する突然変異を予防することで知られています。 

じゃがいものビタミンCは熱に強いので、加熱してもビタミンは壊れません。
栄養素は皮の周辺に含まれているので、茹でてから皮をむく方が効果的。
煮物にする場合は、皮をむいてからしばらく水にさらしておくと、アクが抜けて変色も防げます。
アルカリ性食品なので、肉などの酸性食品と組み合わせると効果的。
さつまいもに比べて、甘味性の糖分が少なく味が淡白なので、主食として用いられています。
また、じゃがいもの発芽部分や日光にあたって緑色になった部分には、有毒配糖体ソラニンが多く含まれており、多量に摂取すると中毒を起こすので注意しましょう。 

保存する場合は、新聞紙に包んで通気性をよくします。
冷蔵庫で保存すると、低温障害を起こす恐れがあり、また、過熱したじゃがいもを冷凍すると、スポンジ状になるので注意しましょう。

インカ帝国の重要な作物。
征服者ピサロがヨーロッパへ。
トマトと同じナス科。
ビタミンCの宝庫

お助けいもは子だくさん
馬の首につける鈴のようだから”馬鈴薯”。
どうして?

では、葉の茂った”じゃがいも”畑で掘ってみましょう。
しなびたタネいもといっしょに太い茎から10本くらいの細い白い茎が伸びて、その先は、それぞれがほんのりふくらんでいます。
これが収穫期までにはずっしりとふくらみ、掘ってみればたくさんのいもが鈴なりです。
なんとタネいもの約15倍もとれます。60グラムを植えつけると3か月半ほどで1キロに。
飢きんに役立つお助けいもです。

男爵
ホクホクの粉質で煮くずれしやすいが、粉ふきいもに適する。栽培面積がもっとも多い人気の品種。関東では出荷の8割。

【ジャカトラから来たいも】
スペイン人によって、ヨーロッパへと伝えられたのが1540年ころ。
当時、貴婦人はばれいしょの花を愛でました。
日本に入ってきたのは慶長年間。
オランダ人が東洋貿易の根拠地としていたジャワ島のジャカトラから来たので、じゃがたらいも。後につまって”じゃがいも”となりました。

デジマ
黄色のややねっとりとしたいもで、初夏をつげる新じゃがとして人気が高い。
長崎など西南の暖かい地方が生産地。

【”男爵”はアメリカ生まれ】
明治になって、今のホクホクした男爵いもがつくられるようになりました。
”男爵”とは実在の日本人、北海道の農場主、川田竜吉男爵です。
アメリカから原種を取り寄せて試作したところ、病気に強く、たいへんな収穫だったそうです。
この原種は、靴直し屋だったアイルランド系のコブラーという人が偶然に見つけたものでした。
川田男爵は以前、軽井沢で西洋野菜を栽培するほど園芸に関心が深い人でした。
また、北海道で初めて自動車を乗り回したのも川田男爵でした。

アイノアカ
淡い赤色の皮で、切ると中は淡い黄色。煮くずれしにくく、デジマよりやや柔らかで、口当たりがよい。

【緑色の皮は厚くむく】
出はじめた芽や日光に当って緑色になった皮には、ソラニンというアルカロイドができてきます。
苦みがでるので、ていねいに除きましょう。

【ゆでても豊富なビタミンC】
ドイツ人に壊血病が少ないのは、ばれいしょを主食とするからとか。
ビタミンCが不足しがちな風土での生活の知恵です。
ビタミンCはりんごの8倍もあり、でんぷんに包まれているために熱に強く、ゆでても5割以上も残ります。
ビタミンB1は1日の必要量を半個で摂取できます。 

メイクイーン
煮くずれしにくい性質で、やや長めの品種。
煮込み料理に最適。
大阪以西で人気があり、関西ではデジマと合わせて出荷の7割。

バイテクいもは、皮をむいても真っ白美人
ばれいしょを料理しようとして皮をむいておくと、淡い茶色に変色します。
そこで、バイテクで新たに改良されたのが、”PC-4”という皮をむいても変色しないいも。
従来のいもは室温に置くと変色しますが、改良されたいもはチロシンという物質が少ないため、真っ白なままです。
時間をおいてもおいしそうな姿のままで調理ができます。
このようにばれいしょも新しい品種づくりのための研究が行われています。

マリー・アントワネットの髪を飾った清楚な花
★18世紀の中ごろのフランスはたいへんな凶作にみまわれました。
このとき、ばれいしょ栽培を提案したのが、薬学者のパルマンティエでした。
★彼はルイ16世に、ばれいしょの花束を献上し、救荒作物としての有効性を説きました。
★さて、どのようにしてばれいしょを短期間に広めたのでしょうか。
★国王は王妃マリー・アントワネットにばれいしょの花を身につけさせて夜会に臨ませました。
きらめく夜会服と清楚な花の演出に、貴族たちは目をみはったことでしょう。
その一方で、国王のいも畑に昼間は見張りを立て、夜は監視を解いて、”国王の作物”を盗みやすくして、庶民に広めました。
★7月の北海道では白や薄紫のばれいしょの畑が広がります。
東北や北海道では春植え、秋収穫の年1回栽培。
★九州では春秋2回の栽培が可能で、長崎は2回もばれいしょのお花見ができます。
★全国的に出回っているのは男爵とメイクイーン、新じゃが用のデジマ。
全国生産の6割は北海道、1割は長崎です。

白い花・青い花
ばれいしょの花にはオレンジ系がなくブルー系が多い。赤い花のベニアカリは、最近できた改良品種。原産地のアンデスの高地では、紫外線が強く、日本より鮮やかな色の花が咲く。

ばれいしょ出荷前線
ばれいしょの産地といえば北海道。
9月から1月にかけては全国のシェアの8割以上を占めます。
2月ころからは奄美、沖縄など暖かい地方のものが出回りはじめます。
そして5月初夏をつげる新じゃがの代表品種、デジマやアイノアカなどの長崎産が最盛期を迎えます。
7月には静岡や千葉、8月には青森産の出荷が最盛期を迎え北海道産にバトンタッチするのです。

アンデス高地で生まれヨーロッパの飢えを救う
南米のペルーとボリビアにまたがる、アルティプラノ高原のチチカカ湖周辺が、ばれいしょ発祥の地と考えられています。
ペルーやチリでは6世紀以前に栽培されていました。
ヨーロッパへの伝播はピサロのインカ征服以降といわれ、最初は珍奇な植物とされましたが、やがて食物としての価値が高いことをフランスやドイツの王が認め、庶民のパンとして広められました。

片栗粉の原料は?
ばれいしょを切ると、包丁にうっすらと白い粉が残ることがあります。
あれはでんぷん、つまり現代の片栗粉の原料です。
片栗粉の名前はカタクリという野草の根からとったでんぷんに由来しますが、現在のものはばれいしょのでんぷんです。
北海道で多く栽培される紅丸やコナフブキは主としてでんぷんの原料用。
かまぼこやちくわなど魚の練り製品のつなぎに威力を発揮します。

ポテトチップス用、フライ用ニーズに合わせ知恵を絞る
ポテトチップスは160~180度の油で揚げて作ります。
白く揚げたものほど美しく、品質がよいとされるため、焦げ色のもととなる還元糖の含有量の少ない”トヨシロ”がポテトチップス用の品種として開発されました。
また、ファーストフードの長いフレンチフライの多くはアメリカ生まれの”ラセットバーバンク”という品種が使われています。


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