納 豆

全世界の死因のワースト3は2002年のWHO(世界保健機関)の調査によると、次のようになっています。
1位……心筋梗塞
2位……脳梗塞
3位……慢性閉塞性肺疾患(肺気腫や慢性気管支炎など)
そのうち、心筋梗塞と脳梗塞は、動脈硬化による病気です。
動脈硬化は世界的な規模で深刻な問題となっており、全世界の3分の1、先進国に到っては2分の1の人が動脈硬化による疾患で死亡しているのです。

動脈硬化を引き起こす容疑者
容疑者A:老化 動脈硬化は、老化現象の一種ですが、一部の動脈だけに起こるものではなく、ある臓器の血管が動脈硬化を起こしていれば、全身の動脈硬化が進んでいる、と考えられます。
容疑者B:悪玉コレステロール 動脈は本来、弾力性があり、強い圧力で血液を送られても何ら問題はありません。
しかし、血管の内側(内壁)にコレステロールなどの脂肪がたまって厚くなってくると、血管の内径は狭くなり、さらに血管壁ももろくなってきます。
すると、血液の流れが次第に悪くなり、脳や心臓など、いろいろな臓器の働きが悪くなってしまうのです。
~豆知識~
善玉(HDL)、悪玉(LDL)コレステロールの役割 コレステロールはすべて悪役というわけではありません。
コレステロールには善玉(HDL)、悪玉(LDL)の2種類があります。
HDLコレステロールは組織や血管に余ったコレステロールを肝臓に戻して動脈硬化を防ぐ働きがあることから善玉を呼ばれています。
逆に、LDLコレステロールは多すぎると血管壁に沈着して動脈硬化を引き起こす原因となるので悪玉と呼ばれるようになったのです。
容疑者C:炎症 老化、コレステロールの過剰摂取は、たしかに動脈硬化の犯人に違いありません。
でも、黒幕的な存在ともいえるのが、じつは動脈の炎症なのです。

シーン1 酸化LDLの登場 血液中にだぶついたLDL(悪玉コレステロール)は、活性酸素と呼ばれる悪玉酸素によって酸化されます。
これを酸化LDLと呼びます。
シーン2 免疫細胞対酸化LDL 酸化LDLは、人間の体にとっては異物(敵)です。
敵を排除するために、体の防衛隊ともいえる免疫細胞(単球やリンパ球など)が、酸化LDLが沈着している血管内皮細胞に集まってきます。
そこから、免疫細胞対酸化LDLの戦いが始まり、炎症が起こっていくのです。
シーン3 サイトカインの登場 かけつけたリンパ球などの免疫細胞は、血管内皮細胞とゆるく接着します。
酸化LDLによって炎症を起こしている場所では、細胞を刺激するサイトカインなどの物質が分泌されています。
そのサイトカインがまた曲者なのです。
シーン4 LFA-1分子とICAM分子が手を取り合って結合 サイトカインは、リンパ球などの免疫細胞と血管内皮細胞を刺激します。
すると、免疫細胞からLFA-1と呼ばれる分子が多く出てきます。
多くのLFA-1とICAM分子が手をつなぐことにより、多くの免疫細胞が血管内皮細胞と結合することになるのです。
この結合が、また不幸を招いてしまうのです。
シーン5 炎症反応が拡大 免疫細胞のLFA-1、血管内皮細胞のICAM分子、この2つの手がいくつも結びつくと、サイトカインなどのさまざまな刺激物質がさらに分泌されます。
分泌された刺激物質は免疫細胞を次々と呼び集めて、結果的に血管内の炎症反応が拡大していくのです。
つまり、最初は小競り合いだったのが、次第に戦争へと拡大していくわけです。
その引き金となってしまうのが、免疫細胞から出る、LFA-1。
このようにして、慢性的に炎症反応が生じることで、徐々に血管の組織が硬くなり、動脈硬化が進行していくのです。
簡単にいえば、慢性炎症を繰り返した湿疹部分の皮膚がかたくなるのと同様に、血管も炎症を繰り返せば硬くなり、動脈硬化が促進してしまうということです。
動脈硬化を予防するには、次の2つのことが大事なのです。
●コレステロールの過剰摂取に気をつける
●血管内に炎症を起こさせない。
つまり、LFA-1を抑える。

LFA-1を抑えるポリアミン
動脈硬化は老化の一種です。
実際、年をとるほどリンパ球のLFA-1は多いことがわかっています。
また、最近では、加齢によるLFA-1の増加が遺伝子(DNA)レベルで生じている事が報告されています。
では、実際にLFA-1を抑えるにはどうすればいいのでしょうか。
そこで今、注目されているのがポリアミンです。
ポリアミンとは、すべての生物(微生物、植物、動物)の細胞内でアミノ酸から合成される物質のことで、細胞の増殖や生存に必要不可欠なものです。
ポリアミンは今から約300年近く前に発見されましたが、近年になるまでその働きは明らかになっていませんでした。
しかし、多くの研究者たちよって、その効果が次第に明らかになってきたのです。
以下、簡単にその効果を紹介します。
○制ガン効果
○効エイズ効果
○脳梗塞の抑制
○効ストレス効果
○効アルツハイマー病/パーキンソン病 
○効アレルギー効果
これだけではありません。
もっとも注目すべきは、これらに加えて、ポリアミンがLFA-1を抑えることがわかったのです。
ポリアミンは体内で作られますが、加齢とともにその量は低下します。
つまり、加齢とともに動脈硬化を促進するLFA-1は増加し、しかも、LFA-1を抑えるポリアミンは減少してしまうのです。
または、ポリアミンの減少によってLFA-1が増加するとも考えられます。
ポリアミンにはスペルミン、スペルミジン、プトレスシンの3種類があります。
いずれも加齢とともに血液中のポリアミン濃度は低下してしまいます。

では、ポリアミンを補給するにはどうすればいいのでしょうか。
じつは、食品から補うことで不足したポリアミンを補うことができるのです。
ポリアミンは消化管(胃や大腸)からの吸収がとてもよいのです。
ポリアミンを経口投与した場合、
■スペルミンの23~30%
■スペルミジンの32~47%
■プトレスシンの33~43%
は、最初の1時間で吸収されるのです。
31名の被験者にポリアミンを多く含む納豆を1日3食食べてもらったところ、ポリアミンの1つで最も強力にLFA-1を抑制するスペルミンの血液中の濃度は、平均1.4倍、人によっては2倍近くまで高くなりました。
さらに、スペルミンの血中濃度の高い人では、リンパ球のLFA-1の数は減少していたのです。
つまり、ポリアミンを摂取すれば、血液中のポリアミン濃度は高くなります。
また、ポリアミン濃度が高いと免疫細胞のLFA-1は少なくなるのです。
たしかに加齢とともにポリアミン濃度は下がります。
しかし、ポリアミンを多く含む食品を摂ることで、血液中のポリアミン濃度は上昇します。
また、血液中のポリアミン濃度が高い人というのは、動脈硬化の主原因であるLFA-1が抑えられているのです。

納豆発展の歴史
大豆を納豆にすると、その効果は倍増 納豆には、大豆のすばらしい栄養や薬効成分が、丸ごと入っている上に、発酵の過程で増加する成分もあります。
そのひとつがビタミンB2。
大豆100グラム中に0.3ミリグラム含まれていますが、納豆にすると、0.56ミリグラムに増えるのです。
この増加分は納豆菌が作り出すものですが、納豆によっては、B2の含有量が3倍にも4倍にもなるものが少なくありません。
ビタミンB2には、体内にたまりすぎた脂肪をスムーズに燃やして、肌を美しくし、脂肪太りを防ぐ働きがありますから、ダイエットには欠かせません。
脂肪を分解する作用は動脈硬化の予防にも役立ち、ひいては糖尿病などの合併症を防ぐことにもなるわけです。
B2には、子どもさんの成長促進作用があり、成長期にとくに重要です。
納豆好きの子どもが多いのも、体が納豆の成分を要求しているといってよいでしょう。
さらに、ビタミンB2には疲労の回復や肝臓機能の向上にも効果があるといわれ、アルコールの分解を円滑に進めますから、酒の肴に納豆を一品添えれば悪酔い防止にも役に立つでしょう。
中高年女性の骨を丈夫にする上で注目されているビタミンK2も、納豆には豊富に含まれています。
大豆にはほとんどありませんので、納豆菌が増産しているのです。
納豆のうまみの秘密はネバネバにありますが、その本体はアミノ酸の一種のグルタミン酸です。
この成分も納豆菌が作り出しているものです。
ネバネバ成分は胃壁を守ったり、腸管の中を食べ物や老廃物などの通りをよくしたり、体にとって毒になりそうなものの排泄を促したりします。
血管の中に発生しやすい血栓を溶かす働きのある酵素として脚光を浴びているナットウキナーゼも、納豆菌が生成している成分といってよいでしょう。
酸素は、人間や生物が生きていくためには不可欠の物質で、呼吸によって体の中にとりこみ、エネルギーを燃やして生命を支えています。
ところが、酸素にはたいへんなマイナス面があり、体内に吸いこまれた総酸素量の2パーセント前後が、活性酸素と呼ばれる悪玉酸素に変化してしまうのです。
活性酸素の毒は、おもに、細胞や血管などの組織にとりついて酸化させ、破壊し、損傷を与えて、その機能を低下させるために、がんや動脈硬化、心臓病、細胞の老化などの大きな原因になってしまいます。 
生命を維持する上で欠かすことのできない酸素が老化やがんの原因になってしまうというのも、何とも皮肉なことです。
人体には、もともと、この活性酸素に対する防御機構が備わっていますが、その働きには個人差がある上に、年をとるにしたがって衰えてしまうのです。 
ボケの原因のひとつも、この活性酸素による脳細胞のサビ、つまり、酸化にあるといわれ、いかにして防御能力の活性化をはかるかが、不老長寿を達成するためには重要です。

最近の研究によれば、糖尿病や心臓病、心筋梗塞、胃炎、動脈硬化など、すべての老化現象や病気の80%から90%は、活性酸素による細胞のサビが原因であることが明らかになっています。
人間は「生きるも酸素、患うのも酸素」であり、活性酵素は「万病のもと」なのです。
この悪玉酸素ともっとも有力な対抗手段は、抗酸化成分を豊富に含んでいるものをとることです。緑茶のカテキンや緑黄野菜のカロチン、赤ワインのアントシアン、ゴマ油のセサミノールなどですが、大豆にも含まれています。
そのひとつが骨を丈夫にする成分でもあるイソフラボン。
さらに、アワの立つ成分であるサポニン、老化防止の成分といわれるビタミンE、ビタミンB類などが抗酸化成分です。
年齢の増加に伴って発生しやすくなる「成人病」には、がん、脳卒中、心筋梗塞、高血圧、糖尿病など、さまざまなものがあります。
成人病の大きな特徴は、生活習慣、とくに食生活に強く影響される点です。
最近では食生活が欧米型となり、脂質の割合が増加し、その一方で、野菜類などの割合が低下しています。
これまで欧米に多かった大腸がんにかかる人が増えているのは、繊維質の摂取量が足りないためだと考えられています。
また、糖尿病にかかる人の低年齢化が問題視されていますが、これはカロリー過剰の食生活がもたらしたものと考えられています。
納豆をはじめとする「大豆入り食品」は、古来から日本人が慣れ親しんできた伝統食です。
大豆には、良質なタンパク質のほかに繊維質も大量に含まれています。
大豆を丸ごと、消化吸収しやすい状態で食べることができる納豆は、大豆の栄養素のみならず、納豆菌が作り出す多様な酵素を摂取することができます。
身体をつくる栄養素も、健康を維持する有効成分も豊富に含む「納豆」を見直すことは、私たちの食生活そのものを見直すことにもつながっています。
成人病という観点から納豆の特徴を分析すると、血管障害を改善する、骨粗鬆症を予防する、がんに有効、この3つを特筆すべき点としてあげることができます。
とくに最近注目を集めているのが、納豆には活性酸素を抑制する働きがあるということです。
活性酸素は、DNAなどを傷つけ、がんや動脈硬化などの成人病を引き起こす原因となるものと考えられています。
大豆は、体内の過剰な活性酸素を抑制する物質として、イソフラボン、ビタミンEを含みますが、納豆にはさらにアデノシン・ウルシル・トリプトファン、カタラーゼなどの抗酸化物質が存在し、活性酸素を強力に抑えることができるのです。
このほか、納豆に含まれる成分を、成人病と対比してみると次のようになります。

ナットウキナーゼ→血栓を溶かすため、脳梗塞、脳卒中、心筋梗塞などの予防・治癒などに有効
サポニン→血管を柔軟にして、動脈硬化、高血圧などに有効
水溶性ペプチド→血糖値を下げるため、糖尿病を改善
リノール酸→悪玉コレステロール値を下げ、動脈硬化や心臓病を予防する
イソフラボン→ホルモンの役目を果たし、骨粗鬆症を防止
ビタミンK2→骨を丈夫にし、骨粗鬆症を防止
セレン→抗がん作用 日本人は、 “菌食”の名人といってよいでしょう。 

健康に役立つ、生きた菌を納豆などの発酵食品からとることによって、病気に負けない体づくりをしてきたのが、日本人なのです。
病原菌やウイルスなどの感染から健康を守り、がんの発生を防ぐためには、免疫力の強化は欠かせません。
免疫力が低下すると、風邪をひきやすくなったり、がんにかかりやすくなったりします。 
したがって、元気で長生きするためには、何よりも免疫力の強化が不可欠なのです。
そこで、重要になるのが、元気で若々しい腸の働きで、腸内をクリーンで健康にするには、その中に棲みついている善玉菌がもっともっと元気になるような食生活が必要になってきます。
人間の腸内には、約100種類、100兆個もの細菌が棲息しているといわれています。
健康で長生きするための、大きなポイントが、この腸内細菌の働きにあるのです。
腸内細菌は、大きく分けると、健康や長寿に役に立つ善玉菌と、大腸がんや免疫力の低下をもたらす悪玉菌があります。 
善玉菌の代表がビフィズス菌。肉食にかたよった食生活やストレス、あるいは高齢になるにつれ、腸も老化してビフィズス菌が減り、悪玉菌のウエルシュ菌や腐敗菌などが増え、腸も弱ってくることが分かっています。 
ビフィズス菌には、病原菌の感染を防ぐ作用をはじめ、ビタミン類を作る、便秘や下痢を防ぐ、発がん物質の分解といった、すばらしい働きのあることが分かっています。

日本人が世界一長生きできるのも、歴史的に腸に力のつく発酵食品を常食してきたことが、大きな背景にあるのはまちがいありません。
たとえば、納豆にはビフィズス菌の大好きなオリゴ糖やセンイ質が豊富に含まれており、善玉菌を多量に繁殖させて、腸に若さをとり戻し、元気をつけてくれるのです。
ビタミンK2が骨粗鬆症を防ぐ 日本人の高齢化とともに、増えている病気のひとつに、骨粗鬆症があります。
骨量が減って、骨がもろくなり、折れやすくなる病気で、とくに、閉経期以降の女性に多いことが分かっています。
このところ、骨を丈夫にする食べ物として、納豆が注目を集めているのです。
厚生省の調査によりますと、中高年女性の骨折する割合は、北海道や東北、関東で低く、京都や鳥取、愛知といった、西日本は高いという、西高東低の傾向があるそうです。
女性の骨折は、昔から納豆を食べてきた関東や東北地方では少なく、あまり食べる習慣のなかった関西地方など西日本が、とくに多いことが明らかになったのです。
つまり、納豆消費量の多い地方ほど骨折の発生は低いのです。
ご存知のように、私たちの骨を形成しているのはカルシウム。
ところが、女性の場合でしたら閉経後、男性でも中年以降になると、カルシウムの吸収率は低下してしまうのです。
それどころか、体外に排泄される量が増えてしまうのです。
このような状態が続きますと骨がスカスカとなり、ちょっとしたことでも骨折しやすくなります。
これが骨粗鬆症ですが、骨折が原因で寝たきりになってしまうケースも多く、社会問題にもなりつつあります。
骨折の最大の理由は、成人が一日に必要なカルシウムの量が600ミリグラムであるのに対して、540ミリグラム位しかとっていないこと。
つまり、日本人は慢性的な “カルシウム不足民族”なのです。
だからといって、多量のカルシウムをとっても、それが吸収されなければ、意味がありません。
カルシウムは、良質のタンパク質といっしょにとると、吸収率がアップすることが分かっています。
そこで注目してほしいのが、カルシウムと良質タンパク質を豊富に含む納豆なのです。
さらに加えて、納豆には、骨の形成を盛んにして骨の破壊も防ぐビタミンK2も含まれています。
骨折した人は、骨折しない人にくらべ、ビタミンK2の血中濃度が低いというデータもあります。
納豆の主原料である大豆。この大豆タンパクは、肉類のタンパク質と比較しても数々の優れた特徴を持っています。

その一つが、糖尿病などの疾病に関わる「血糖値」(血液中の糖分量)を下げる効果があることです。
糖尿病は、代表的な成人病の一つです。
発症がゆるやかで、ノドの渇きや多飲、多尿などの自覚症状が出るのは、血糖値が相当高くなってから。
放っておけば、失明、尿毒症、心臓疾患、脳卒中などを招きかねない恐ろしい病気です。
糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きが悪くなったり、分泌量が低下したりして起こります。
通常、身体のエネルギー源となる炭水化物を食べると、胃や腸で分解されてブドウ糖になり、肝臓から血液中へと送られます。
細胞は、このブドウ糖を取り込む際に、インスリンの働きを必要とします。
もしインスリンが有効に働かなければ、血液中や尿の中にブドウ糖があふれ出すことになるわけです。
大豆タンパクに含まれる「水溶性ペプチド」には、血液中の糖の吸収を促す作用があるのです。
インスリンは、細胞のレセプターと結合して、ブドウ糖を体内へ送り込みます。
水溶性ペプチドはレセプターを活性化するだけではなく、レセプターの数を増やす効果もあると考えられています。
こうしてブドウ糖が吸収されれば、血糖値も下がります。
さらに、大豆タンパクに含まれる水溶性ペプチドは、「グルカゴン」というホルモンにも働きかけます。
グルカゴンは、血液中の糖分濃度が必要以上に低下した時に、濃度を上げるために分泌されます。
つまり大豆タンパクは、単に血糖値を下げるだけではなく、下がりすぎないようにホルモンのバランスを整える効果もあるのです。
糖尿病にかかる人は、食生活が欧米型に偏ることで急増したといわれており、カロリーオーバーや肥満が発病の引き金になります。
このような人は糖だけではなく、血液中の脂質の濃度も高い傾向にあります。
大豆タンパク中の水に溶けないペプチドには、脂質の濃度を下げる働きもあり、大豆を主原料とする納豆は、糖尿病体質の改善にうってつけの食べ物であるといえます。

このところ、朝ごはんの重要性が注目されています。
脳の一日の活動のカギを握っているのが、朝ごはんだからです。
朝ごはんをとらない人は、交通事故率の高いことや、学生の場合でしたら、教室内での集中力が低いことなどが分かっています。
朝ごはんをしっかり食べる習慣こそ、頭脳力を向上させ、脳細胞の老化を防ぐ秘訣といってよいでしょう。
脳や体がよろこぶ朝ごはん。
寝ている間に、脳のエネルギーは空っぽとなり、体のエネルギーも消耗されつくしていて、朝、目覚めた時には、余力は少なくなっています。
脳のエネルギー源になるのは、ブドウ糖だけです。
だから、朝ごはんの炭水化物が必要なのです。
炭水化物は、体の中でグリコーゲンとなり、脳細胞が活動するために要求するブドウ糖の原料となります。
朝の食事の場合、米でもパンでも大差はないように見えますが、タンパク質などの栄養面では、米の方が優れています。
しかも、米には記憶力をよくする上で欠かせないレシチンも含まれているのです。
日本人は、江戸時代以来、朝ごはんに納豆をかけて食べる習慣を作ってきましたが、頭脳力を高める上では、非常に優れています。
21世紀は、超情報化の時代になるでしょう。
つまり、頭脳力の優劣が問われる時代になるのです。
そこで注目してほしいのが、卵入りの納豆かけごはん。
脳の栄養学からいっても、理想的な朝ごはんなのです。
鶏卵にも納豆、米飯にもレシチンが、たっぷりと含まれているからなのです。
レシチンは脳をいきいきさせる成分なのです。
人間は年をとるにつれて、脳の中の神経伝達物質が減少していきますが、これが記憶力低下の一因と考えられています。
脳の若返りをはかるためにも、卵入り納豆かけごはんの朝食は、きわめて頭によい食事法なのです。

超高齢化社会の到来ということもあり、痴呆症状などをもたらす脳の老化が話題となる機会も増えています。
脳の老化を防ぐ食べ物として、さまざまなものが取り上げられてきましたが、最近、納豆に高い効果があるのではないかと期待されています。
納豆は、大豆加工食品の中でも、リン脂質を多量に含んでいることが知られています。
その一つが、大豆レシチンです。
大豆に含まれるレシチン(正確にはホスファチジルコリン)という物質は腸で吸収され、血中のコリン濃度を引き上げ、脳内でアセチルコリンという物質になります。
脳内では、神経細胞の間を情報伝達物質が行き来して、記憶や判断などの働きを助けます。
アセチルコリンは代表的な情報伝達物質の一つであり、とくに記憶の形成に重要な役割を果たしています。
頭脳を酷使して疲れたり、ストレスにさらされたりするとアセチルコリンの量が減り、頭の活動が低下するのです。
したがって、コリンを補給するのに有効なレシチンを摂ることで、物忘れを防止し、学習効果を高めることができると考えられています。
マウスを使った実験でも、コリンを添加した食べ物を与えると記憶力が持続するなどの評価が出ています。
海外では、大豆レシチンの粉末などがずいぶん売れていますが、レシチンはカロリーも高いため、やたらと摂取すれば肥満などの原因となりかえって成人病を招くことにもなりかねません。
粉末などに頼らず、ふだんの食生活の中から摂るように心がけたいものです。

ところで大豆100グラムには、レシチンが1,480ミリグラムも含まれていて、他の食べ物に比べて圧倒的な含有量を誇ります。
納豆は大豆よりはるかに消化吸収されやすい状態なので、レシチンを効果的に身体に取り込むことができるわけです(ちなみに同じ大豆加工食品である「豆腐」には、リン脂質はほとんど含まれていません)。 
さらに、ホスファチジルコリン以外のリン脂質にも脳を活性化する働きがあります。
例えば、ホスファチジルセリンは、老化による健忘症や痴呆状態を防止する作用があることで知られています。
超高齢化社会を頭も身体も健康な状態で乗り切るために、納豆はかけがえのない食品といえます。
納豆の新しい効能として、このところ、脚光を浴びているのが、血栓を溶かして、心臓病や脳卒中、あるいはボケの予防にも役に立つという作用があります。
血栓というのは、血管の中にできてしまう血液のかたまりで、文字通り血管に栓をするかたちとなり、そこから先は血流がさまたげられたり、止められたりしてしまうわけですから、細胞は大きな打撃を受け、悪くすると死んでしまいます。
血栓が脳の血管の中で起これば脳梗塞、心臓の筋肉内で発生すれば、心筋梗塞などになるわけです。
脳の中の血管が詰まるなどして起こるのが、脳血管性のボケで、我が国のボケの60%前後が、このような血栓によるものとみられています。
この恐ろしい血栓を溶かす働きのある酵素が、納豆のネバネバに含まれていることが、倉敷芸術大学の須見洋行教授によって発見され、教授はこれを「ナットウキナーゼ」と名づけました。 
納豆を食べることによって、恐ろしい血栓の発生を防ぐことも、可能になったのです。
ナットウキナーゼの血栓溶解作用は強力で、心筋梗塞や脳梗塞などの発作で危険な状態になると、医者はウロキナーゼという血栓溶解剤を投与しますが、その際の一回分の量と同様の作用が、納豆グラムで得られるそうです。
ネバネバに含まれているナットウキナーゼは、生きた酵素であり、70度以上の高温になると、活性力は失われてしまいますので、人肌くらいのご飯にかけて食べるのが理想的。
血栓は就寝中にできる場合が多く、夕食に納豆を食べれば、より効果的といってよいでしょう。
ただし、心臓病などで病院から抗凝固薬のワーフアリンを処方され、服用している方は、納豆を食べてよいかどうか医者に相談した方がよいといわれています。
納豆の原料である大豆は、「畑の肉」といわれるように血液や筋肉、内臓などの組織づくりに欠かせない良質なタンパク質を豊富に含んでいます。
納豆は、煮た大豆に納豆菌を植え付けて作ります。
この納豆菌には、化学反応を促進する「酵素」が大量に含まれているため、大豆のタンパク質や脂質などの身体に有用な成分を効率よく分解するのです。
そのため納豆はタンパク質の消化吸収率がよく、煮豆のままだと65%程度のものが、納豆に加工すると80%以上に吸収率が高まります。
ちなみに納豆100グラムに含まれるタンパク質は、約10グラム。
これは卵 3個分、牛肉なら80グラム、豚カツ1枚(120グラム)に相当します。
しかも納豆は高タンパク食品でありながら、コレステロールがゼロ。
これが同じ高タンパク食品である肉や魚との大きな違いでもあります。
納豆にはこのような良質なタンパク質のほかに、繊維質や、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなどが多量に含まれています。
また、人の身体を作るのに欠かせない栄養のほかに、納豆には薬のように働きかける機能性物質が、たくさん含有されていることが、研究によって次第に明らかになってきました。
機能性物質の中には、DNAを傷つけ疾病の原因となる「過剰な活性化酸素」の働きを抑える物質や、血管障害や骨粗鬆症などの成人病を予防・治癒する物質、脳の老化を防いだり記憶力を向上させたりする物質、大腸の悪玉菌を抑制して食中毒の予防・治癒に効果を発揮する物質など、健康維持に欠かせない成分が多彩に含まれています。
大豆という栄養豊富な材料と、納豆菌という有益な菌とが出会って生まれた「納豆」。
小粒な身体の中に、私たちの健康を守る大きなパワーが秘められているのです。

「サポニン」は、もともと大豆に含まれている成分で、「サポ」は「泡」とか「泡のたつもの」という意味で、水を加えると発泡する性質があります。
大豆を洗ったり、煮たりすると泡が出るのは、サポニンのためです。
泡立つことを「起泡性」と呼びますが、大豆を食べると、腸内でもその性格を発揮して、宿便を解消し、便通をよくして腸をきれいにし、大腸がんをはじめ、その他のがんや各種の病気を予防する上でも、役に立っているとみられています。
サポニンには、血管に付着したコレステロールや脂肪などを洗い流して、血管をきれいにし掃除し動脈硬化を防ぐ働きもあることが分かっています。
また、体内の “腐った脂肪”と呼ばれる過酸化脂質を、セッケンのように、その汚れを落とす作用でも知られ、脂肪やコレステロールの掃除人ともいうべきサポニンは、脳や体の老化防止にとっても、たいへんに貴重です。
過酸化脂質は、体内に発生したサビのようなもので、年齢とともに心臓や脳など、いたるところにたまっていきます。
これらは酸素の攻撃によっておこる酸化現象であり、老化現象といってよいでしょう。
動脈硬化は、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった怖い生活習慣病(成人病のこと)の原因にもなるだけに、納豆に多いサポニンは、それらの病気から健康を守ってくれる、強い味方といってもよいでしょう。
肥満防止や肩こりの解消にも、役立つことが判明していますが、最近ではエイズウイルスの増殖を抑える効果でも、注目されています。

納豆には、ほかの菌を殺す優れた抗菌作用、抗ウイルス作用があることが古くから知られていました。
医学博士・松村勉氏(京都帝大細菌学教室)の発表によると、腸チフスの保菌者にしたウサギに納豆菌を食べさせたところ、数日後には腸チフス菌がすっかり消えていたということでした。
また、下痢をした時には、ビオフェルミンなどの乳酸菌を飲み腐敗菌を退治して治療しますが、替わりに納豆菌を飲ませるとわずかな時間で腐敗菌が減少し、しかもその整腸作用が乳酸菌より長続きするという結果も出ています。
納豆1グラム中には、およそ10億個といわれる納豆菌が存在し、その納豆菌が生産するさまざまな酵素も含まれています。
私たちが普段通りの分量の納豆を食べた場合、お腹の中には100万個程度の納豆菌が生息するものと考えられています。
この納豆菌の猛烈な繁殖力が、他の病原菌を駆逐してしまうのです。
納豆菌には、ジピコリン酸などの抗菌物質が含まれ、腸内病原菌の発育を抑制する作用があります。
ブドウ球菌、赤痢菌、チフス菌などのほか、最近では、病原性大腸菌O-157に対しても強い抑制効果があることが判明しています。
カビや細菌から作られる抗生物質は、他の微生物の繁殖や存在を抑える物質として、近代医学の治療の中心的役割を果たしてきました。
しかし、抗生物質はある菌に対しては有効でも、他の菌には効かないといった効果の特異性があります。
これに比べて納豆菌の抑制効果は非常に広範囲にわたり、しかも強力かつ副作用の心配がないという特徴を持っています。
さらに、乳酸菌などの善玉菌には手を出さず、ふだん腸の中にいないような菌に対して作用するわけですから、これほど人間の身体に優しい抗菌物質は見あたらないのではないでしょうか。



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