マクロビオティックと栄養・食事のバランス |
| 『陰陽の調和』と『一物全体』 腫瘍や結核、高血圧、糖尿病、アレルギーなど、多くの重大な病気の直接、間接の原因も「陰陽の調和」(からだの内外のバランス)が崩れることで発症するものと考えられます。 もちろん、うつ病などの心の病や、リウマチなどの自己免疫不全などの病気も、その根本的な原因は同じです。 身体のバランスというのは、「肉体」と「心」と「脳」のバランスを言います。 また、栄養のバランスのことも言います。 地球環境のバランスのことも言います。 この陰陽というのは相対的なものです。 手のひらと甲、光の当たるところと陰のところ、物事の順位などと同じものです。 すべてのバランスが大切であり、いずれかが崩れると病気になったり、未病の症状が出ます。 薬はそれらの症状の一部(発熱とか、湿疹とか、痛みとか)を抑えたり和らげたりするために使います。 手術は悪くなった部分を切除して、痛みの原因を除いたり、他へ移らないようにするために施します。 いずれも、病気そのものを治癒させたり、体質を改善させたりするものではありません。 マクロビオティックが病気や症状の改善の主役として食事療法を薦めるのは、薬品などのように「毒」と隣り合わせにあり、急速な症状の改善が期待できる代わりに、使い方や量を間違えると逆に生命を脅かすことにもなりかねないものより、毎日の食事こそが安全で、根本的な解決につながる生命維持の基本であると考えるからです。 ただし、重篤な病状で生命の危険が目の前に迫っていて、一刻も早い回復が必要な場合は、薬剤や手術による治療も止むを得ないことでしょうし、日常的に摂取が不足しがちなミネラル類を補うために、最近開発されてきた「サプリメント」や「栄養機能食品」などを摂ることは理に適っていることで、安全が確認されているものであれば禁止すべき理由はありません。 マクロビオティックの「食養」でいうところの「陰陽の調和」というのは、大まかに言えば以上のようなことですが、しかしその源を尋ねれば、「食養」の陰陽には漢方から伝わった「医食同源」や「本草学」の知恵が含まれています。 「本草学」といいうのは、薬草の知識だけでなく、古くは動物、植物、栄養学、天文学・・・など広く全体を包含した。現代でいう博物学のようなものでした。 つまり関連するあらゆる知識や研究の上で、人が生きていくために、環境を維持するために、どうすべきか、どうあるべきかを考えてきたものですので、食物の陰陽や人体の陰陽のみを言ったものではありませんでした。 これは石塚左玄や桜沢如一のような日本の研究家たちが、中国の哲学の「陰陽五行」を参考にはしましたが、そのものを取り入れた訳ではなく、独自の考え方を持ったものです。 現代のマクロビオティックでは食べ物や身体の陰陽を強調していますが、この考え方は狭すぎますし、科学的とは言えません。常にその裏にあるものを意識する必要があります。 食事の全体的なバランスを説明するときに、「陰陽の調和」の一部を引用したものと考えてもいいのでしょう。 ですから、当然そこには薬学や栄養学も含まれます。 というか、それらを無視してはいけないものだと思います。 現代のように 好きな食べ物が「いつでも好きなだけ」手に入る時代は、かえって食事の悪い習慣によっておこる「生活習慣病」や「慢性病」の増加を生みだし、それが最近の日本での大きな問題(アメリカやヨーロッパでも同様です)になってきています。 これらの病気を予防するためにも正しい栄養の知識を身につけることは健康を考える上で重要な要素となるでしょう。 私達が、おなかが空いて何か食べたくなる、というのは、身体の中の栄養が不足してきて補充しなければいけないよ、という脳の指示です。 食事を摂ることによって活動源となるエネルギーや体を作る材料を手にいれたり、体内でとりいれた材料が円滑に働けるように助けたりという働きを得ています。 ただし、飽食(グルメ志向)の現代では、脳の働きも少し不健康になっていて、栄養が行き届いて(あるいはそれは一部の栄養だけのときもありますが)いても、脳はおなかが空いた、という誤った指示を出してしまうこともあります。 「肉体」と「心」と「脳」のバランスが崩れたときです。 栄養とは、「食べ物に含まれる体に必要な成分」を意味しています。 この中には、「三大栄養素」と言われる糖質・蛋白質・脂質があり、それぞれ活動のためのエネルギーとなったり、体を合成したりする働きをしています。 さらに、この「三大栄養素」にビタミン・ミネラルを加えて「五大栄養素」と呼び、この二つの栄養素は、「糖質・蛋白質・脂質」が体内でスムーズに働くための補助的な役割を果たしています。 また、この「五大栄養素」は長期間不足すると欠乏症の心配があるために、所要量が定められています。 (現代では 過剰症の心配が問題となっている) それに加えて、「食物繊維」は、実際は栄養素として分類されてはいませんが、「五大栄養素」同様に生活習慣病などの予防には欠かせない成分として「第六の栄養素」として扱われており、「第5次改訂日本人の栄養所要量(1994年)」では摂取量も定められ、現代では重要な働きを持つものとして注目されています。 その6つの栄養素以外にも、「健康」を考えるとき重要とされる栄養成分として注目を浴びている「ポリフェノール」など、抗酸化作用によって癌や心臓病などの病気の予防に働く栄養成分があります。 これを「第7の栄養素」と呼び、現在もっとも関心を集めている成分のひとつです。 また「オリゴ糖」、「タウリン」など、栄養素ではありませんが、健康のために摂ると役立つ機能的成分として注目されています。 それ以外に、特殊成分として「アリシン」など、摂ることで栄養的になんらかの効果があるとして期待されている成分もあります。 また、そういった「栄養素」や「栄養成分」以外にも、「水・アルコール」も身体の健康を考えるとき見過ごしてはならないものです。 このように、私達は現代では様々な栄養や食べ合わせを知ることができるようになりましたが、それを正しく組み合わせて摂ることが出来なければ意味を成さないばかりか、折角栄養を摂取しても身体の中では充分に栄養として働かなかったり、逆にマイナスに働いたりというようなことが起こります。 栄養を考えるということは、ある食物に含まれている栄養の量を計算することではなく、調理法や食べ合わせによって体内で有効に働く栄養の量とバランスを考えることなのです。 マクロビオティックでは、この個別の栄養について気にするよりも、全体的なバランスを考えた方がよいと言っています。 なぜなら、栄養と言うのは、それぞれ単独では吸収も悪く、あるいは吸収されても体内で充分な働きが出来ないからです。 食物の中の栄養素の含有量ばかりを考えていたのではダメなんです。 管理栄養学ではその研究を進めていますが、難しいことが分からない一般の人たちは、個別の栄養知識を夢中になって探るのはかえって良くない結果を生むからです。 「一物全体」の考え方はそれを示しているのです。 最近、特に、ある特定の「栄養素(あるいは栄養成分)」が注目を浴びると、あたかも「その栄養素だけをたくさん摂ることが健康に良い!」と誤解されることが多いようですが、栄養素は単独で働くのではなくお互いに影響しあい助け合って働くので、ひとつの栄養素だけ摂るのでは力に限りが出てきます。 例えば「ビタミンE」が老化防止や癌予防に効果があるといって、それを含むひとつの食品ばかりやサプリメントだけを毎日摂っていてもその働きは十分ではありませんし、他の栄養素が不足することによって健康は保てません。 そのため、健康を考えて食事を摂るとき最も重要なことは、「体に必要とされるすべての栄養素を過不足なく摂る」ということで、そのためにはひとつの栄養素だけを摂っていても無理が生じるし、また栄養素を複数含んでいる「食品」にしても、ひとつだけで「完全な栄養を含む食品」はあり得ないので、いろいろな食品を組み合わせて過不足を補正するようにしなければならなくなるのです。 それがマクロビオティックでいう「陰陽調和」「一物全体」などです。 栄養バランスをよくするためには、一日の中でもできるだけ多くの食品を、しかも栄養価の違う複数の食品を組み合わせることが必要になり、それがひとつの食品の持つ栄養的欠点を補ったり、また含まれる栄養素の働きを補うことにも繋がるとも言えるのです。 各栄養素の働きを充分にするための基礎作りをしようというのが、マクロビオティックの「玄米菜食」、「粗食」の勧めです。 それによって、栄養を受け容れやすい体質を作り出すのです。 参考までに、栄養成分の似たものをグループ分けして作られた「6つの基礎食品群」(厚生省考案)を以下に示します。 <6つの基礎食品群> 群 別 主に含まれる食品 供給が期待される栄養素 一日当たりの目安量 第1群 魚・肉・卵・大豆・大豆製品 良質蛋白質 魚1切れ(約60g)肉1枚(約60g)卵1個 豆腐1/3丁(約100g) 第2群 牛乳・乳製品・海藻・小魚 カルシウム 牛乳200ml チーズ2切れ(約50g)ワカメ2g ちりめんじゃこ10g 第3群 緑黄色野菜 カロチン(ビタミンA) 人参50g 小松菜50g 第4群 淡色野菜・果物 ビタミンC キャベツ100g 大根100g いちご5粒(約100g) 第5群 穀類・芋類・砂糖・菓子類 糖質 ごはん軽く3杯(300g)じゃがいも1個(100g)砂糖大匙2杯(20g) 第6群 油脂類・脂肪の多い食品 脂質 サラダ油大匙1杯 マーガリン大匙1杯弱(10g) |