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なれずし(熟鮨、鮒鮨)は、おもに鮒などの川魚を塩漬けしたのち、塩と米飯をいっしょに漬け込んで自然発酵させたものです。
腐れずし、熟れずしとも呼ばれ、乳酸発酵作用を利用してつくられるものですが、後にご飯に酢を合わせて魚を漬ける、鮨の原型といわれています。
琵琶湖周辺の地域で魚のみを食べる鮒寿司が有名ですが、秋田県のハタハタ寿司や石川県のかぶら寿司、北海道や東北地方でつくられている飯寿司などもなれずし(熟鮨)の一種です。
寿司に必ず使用される「酢」も発酵食品であり、それ自体、身体によいものであることはよく知られていますが、「なれずし」などのように動物性たんぱく質を醗酵させたものは、さらに旨みも栄養価も増しています。
そもそも発酵食品というのは、今から4、5千年前にアラビアの遊牧民が旅をするときに持ち歩いていたミルクが変質して、透明な液体と白い塊に分離していたのを、悔しさ半分で舐めてみて、これは「おいしい、イケル!」と感じたことが起源ではないかといわれています。
多くの発酵食品に見られるとても強いニオイ、独特の味わいは、最初に口にいれる人にとってはかなり勇気のいることだったと思います。
現在の発酵食品のほとんどは、そうした昔の人々の、長年にわたる人体実験によって育て上げられてきたといっても過言ではありません。
なれずし以外にも納豆、塩辛、漬物、味噌、醤油など多種多様な食品に生まれ変わり、チーズやワインなどのように世界各国、各地域の食材、気候風土によって伝統的な食文化が作りあげられてきています。
発酵には微生物が大きく関わっていますが、微生物は、食材に含まれる澱粉や糖、タンパク質などを分解、合成し、新たな成分を作りあげてくれます。
この代謝活動が「発酵」で、微生物の力によって、もとの食材にはない美味しさや、有効成分を加えて栄養価を高くしたものが「発酵食品」です。
こんなに多くの種類の発酵食品が生まれ、育ってきたのは、食べてみて美味しいからです。
人によっては美味しいというより、クセになる味といえます。
そして発酵食品が定着してきた理由の二つ目は、栄養価が高いことを先人たちが体験的に知っていたからです。
薬がなかった時代には、発酵食品が体力をつけるために重宝されていたといわれています。
いわゆる昔の人の健康食品、サプリメントだったのかもしれません。
発酵過程での酵素の働きにより、様々な栄養成分が生み出され、栄養価の高い食品に生まれ変わります。
もう一つの理由は、それらが生まれたきっかけを見れば分かるように、食べ物の保存性が向上することです。
発酵食品も塩を使うことが多いのですが、人間に有益な微生物がある一定以上に繁殖し、人間に有害となる腐敗菌を抑えて保存性を良くする力を持っています。
さらに発酵食品は、食材を発酵することにより、栄養価が高くなるだけでなく、消化吸収をしやすく変化させる働きを持っています。
発酵食品を含む日本の伝統食は、健康を維持するための食事として海外でも注目されはじめています。
発酵食品は、世界各国あるいは各地域の気候風土や食材、民族の習慣や体の特性にあわせて改良伝承されてきましたが、日本人には、日本人の体の特性にあったものを多く食べるべきではないでしょうか。
肉類を少し減らし、魚や発酵食品、伝統食をできるだけ多く取り入れることが、健康的な身体を作り上げ、維持することになるはずです。
酢をとるとクエン酸などの働きにより、疲労回復が早まります。
漬物やヨーグルトなどに含まれる乳酸菌は、整腸作用があり、納豆には血液をきれいにしてくれる酵素が含まれています。
素材に含まれる栄養素に、発酵で新しく発生した栄養成分が加わり、パワーアップした食品に生まれ変わって、健康増進に重要な役割を果たしているのです。
ただ、何事もそうですが、発酵食品が体に良いからといって種類によっては過大に摂りすぎるのは注意が必要です。
塩辛や漬物などのように塩分の高いものも数多くあるからです。
百薬の長といわれるお酒も、飲みすぎれば肝臓に負担をかけます。
どんなに体に良くても、特定のものだけをたくさん食べるのは逆効果になるのは当然のことです。
大事なことは、毎日の食事のなかにできるだけ多くの発酵食品をとり入れ、和食中心の食生活を心がけることです。
マクロビオティックの「食養」は、そのような日本の伝統食が考え方の基本となっています。
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