人と環境の健康・永遠と平和への憧れ
人類が地上に現れ、生命を維持し、繁栄することが出来たのは、地上の生命体が生殖を繰り返し、子孫を維持し続けることができるだけの環境が整っていたからです。
それを人類だけの都合で傷つけ汚染させてしまえば、環境は乱れ、生命の維持が不可能なほどに破壊されてしまいます。 自然は絶妙なバランスの中で保たれています。
生き物もその中の一部でしかありません。
当然ながら、その人間が勝手な動きをすれば、全体はバラバラになり壊れてしまうか、動かなくなってしまいます。
空気も様々なガスの混合体ですが、その比率が限界以上に変化すると、その中の生物は生きることが出来なくなります。
空気は生物の呼吸を助けているだけでなく、外部からの危険な物質を遮断してくれています。
そのために最適な比率もあって、それが狂うと紫外線や宇宙からの素粒子などが人体に大量に降りかかってきて非常に危険な状態になることは、つい最近になって人類が知り得た知識です。
二酸化炭素やメタンガスなどの比率が増えすぎると、地上に溜まった熱を温室のように蓄えて、地上の気候を大きく変化させてしまうという事実についても同様です。
ヒトが豊かに暮らしていくために、時にはダムや水門、堤防などで川の流れを変化させて、洪水などを防ぐ必要があるかもしれません。
しかし、それも限度を超えてしまえば、その川の周辺の環境が大きく変わってしまい、そこに生息してきた様々な種類の生き物達が死滅してしまいます。
どんな小さな生き物でも、一つの生物が絶滅してしまえば、そのことが他の環境や生命に与える影響は計り知れないものがあります。
最近では、「BIO TOP―(ビオトープ)」ということも言われ始め、自然に手を加えざるを得ないときにもできるだけ環境に配慮しようとする動きもあります。
増えた人口を支えるために農産物の生産性を上げようと農薬を使用したり、遺伝子の組み換えや遺伝子操作をしたりしてきました。
しかし、それがまた、土壌の活力を下げて農作物が育たなくしたり、川や海の水質まで汚染させたりして、広い海やとうとうと流れる川が本来持つ自然回復力さえ追いつかなくなっています。
それが近海に生息する魚介類や海草類に想像を超えた悪影響を与え、食料にも適さない状態にまで追い込んでいます。
また、その周辺の生命のDNAまで変化させてしまい、それが近い将来どのような影響を及ぼすのかについては全く解っていません。
遺伝子操作や組み換えを忌み嫌ったり呪ったりするだけでなく、変化した環境を出来るだけ元に戻し、あるいは生命が維持できるように整えなおすことも考えるときが来ているのではないでしょうか。
自然を相手にしたとき、高度に発達した科学力を誇る人類の知恵もきわめて狭く浅いものになります。
まだ人類が把握しきれていないリスクも、想像を超えてあるに違いないと思っています。
科学は、人類が目の前で確証したもののみで判断しようとしてきましたが、「事実」と「真実」は違うものであることを理解しなくてはいけません。
科学万能ではなく、そこからは推し量れていないものを哲学的に、というか深い熟慮の中から想定していくことも必要なのではないでしょうか。
我々人類が、裸で危険の中に立ち尽くすことがないように。とは思いませんか。
そうした思慮から自然との折り合いをつけて、いつまでも安全に平和に過ごせる環境を維持しようというのがマクロビオティックの根本的な理念です。
「マクロビオティック」が「長寿食」と訳されることもありますが、これは、ヒトが永遠に生活できるような環境の維持を追及していることから来るものと思います。
単に個人の長寿だけではなく、人類全体の、ひいては地上の生命体全体の永遠の繁栄を願っているのがマクロビオティックです。
人が夢を持つことが出来るのも、生きがいを持つことが出来るのも、そして子を作って子孫を繁栄させようと願うのも、すべて明るい未来が永遠に続くと信じるからです。
もし未来がどんどん暗くなり、ある時期には地球なり、人類なりが消滅してしまうとしたら、人は何の希望も持てなくなり、子供を作る気力も萎えてしまうでしょう。
少なくとも心の病気になるということは推測できます。
そうした明るい未来を永遠に持続させるためにはどうしたらよいのかを考えなければなりませんが、そのことに対して示唆を与えているのが、マクロビオティックの考え方であり、生き方であります。
マクロビオティックでいう「陰陽の調和」というのは、非常にわかりにくい言葉ですが、この「陰陽の調和」こそが、未来永劫まで人類及び地上の生き物、環境を持続させるものの考え方です。
最近の学業の現場では、注意欠陥・多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)児と呼ばれる、落ち着きがなく、注意散漫で授業についていけない子どもは普通学級に6.4〜12.8%いると言われています。
また、もっと注意散漫な上にキレやすく、人との協調性がない高機能自閉症やアスペルガー症候群(ASP)と呼ばれる子も、普通学級に1.2〜1.4%存在するそうです。
近年では、彼らのことをまとめて軽度発達障害と呼んでいます。
そういった障害が増えている正確な原因はまだ解っていませんが、近年の脳科学の研究によれば、遺伝的、生物学的要因に加えて、もろもろの環境汚染が深く関係しているとされています。
米国の五大湖周辺と台湾での研究によれば、PCB、ダイオキシンなどを含む魚(特にマグロなどの大型魚)を妊娠初期に食べた妊婦から生まれてきた子にADHD、LD児が多いことが立証されました。
また米国の研究によれば、食品添加物(特に人工着色料)とADHD、LD児との関連性が報告され、それらを含まない食事療法がなされています。
また近年は、妊娠中の水銀、鉛などの重金属の摂取と自閉症との関連性が指摘されていますが、これらの摂取の経路については、多くの場合、まだ正確に特定されていません。
魚類などの食物のほか、三種混合ワクチンなどに含まれる重金属も原因の一つと疑われています。
もう一つの恐るべき汚染物質は、タバコとアルコールです。
胎児性タバコ・アルコール症候群が胎児の脳神経の発達を阻害してADHD・LD・ASPなどの発達障害を作ることは近年注目されています。
驚くことに、妊娠女性の10%が喫煙して、30%が飲酒しているという事実が近年の調査で明らかにされています。
「できちゃった婚」が計画的妊娠とほぼ同数になったことも関連しているのでしょう。
不幸にもレイプなどの暴行による、本人が望まない妊娠も含めるととても軽視できない数字になります。
近年、もう一つ注目されているのは、幼児期・学童期のゲームやテレビの長期間視聴との関係です。
子供がゲームをやりすぎると、ゲーム脳といって前頭葉にSlow α波が頻発して、ADHD・LDもどきの脳になります。 もう一つの疑わしい容疑者は、不規則なライフスタイルです。
特に近年の子供は、睡眠不足と朝食抜きが蔓延し、なんと、3歳児の54%が夜10時以降まで起きています。
この睡眠不足は、脳内のセロトニンとメラトニンを減少させて、落ち着きのないキレやすい子を作ります。
夜遅くまでテレビを見たり、ゲームをやったりして睡眠不足になり、朝食を抜いてペットボトル飲料を飲みながらお菓子を食べていれば、血糖値が乱高下し、ADHDもどきの脳になるのは必然の結果といえるでしょう。
マクロビオティックでは「陰陽の調和」という理念を用いて、人が人として正しく生活し、正しい判断をするようになるためにどうすればよいかを説いています。
それはキレ安い子供のためだけに説いているものではありません。
その子達の親や先生や政治家や、多くの大人たちに向かって説いているのです。
では「陰陽の調和」とは、どのように理解すればいいのでしょうか。
食べ物にも、身体にも、生き物にも、環境にも、宇宙に存在するすべてのものに「陰陽」があると言っています。
「陰陽」というのは、形あるものに表があれば必ず裏があるということですが、形のない心や考え方のようなものにも「陰陽」はあります。
ポジティブ―ネガティブ、前向き―後ろ向き、前後左右、と対比できるものすべてが陰陽に置き換えられます。
尖ったものには丸いもの、大きいものには小さいもの、熱いものには冷たいものという調子です。
引力には遠心力です。
実は、このすべての「陰陽」が調和していることで宇宙が成り立っているという考え方が、中国の古い哲学にあります。
その「陰陽の調和」を乱してはいけないというものです。
元々、哲学とか、宗教とか、というのは科学と同一であったであろうと思われます。
ある一つの事象を複数の人が見たときに、その因果関係を正しく合理的に理解する人と理解できない人があったであろうことは容易に推察できます。
そして、合理的に理解した人が、すべての事柄や事象を合理的に追及しようと発達したのが科学です。
逆に合理的に理解できなかった人がその説明を誰か(賢人、悟りを開いた人)に求めようとしたのが宗教です。
その中間の曖昧なものを含めて理論的に説明しようとした学問が哲学なんでしょうね。
マクロビオティックは、宇宙の存在や成り立ちの中で未だ科学で解明できていない部分も含めて理論的に説明しようとした哲学であろうと思われますが、それは迷信や宗教とも違いますし、嘘でたらめと排斥すべきものでもないと思います。
少なくとも科学が破壊してきた環境を回復し、自然に戻すことが出来る考え方としては正しい主張であると思っています。
そこで「陰陽の調和」ということに話を戻しますと、宇宙も自然も人間も「陰陽の調和」があるからこそ安定して存在するのであって、調和が崩れるようなことがあれば、たちまち壊滅してしまうということを言っています。
宇宙などというとてつもない大きさのものの調和を人間ごときが崩せる訳がないとお思いでしょうか。
では、あの広い海を見てください。
嘗て、人々は海には果てがないと思っていました。
それは清濁併せ持つ広さを持つと例えられ、決して汚れることはないと思って汚濁物質を流し続けています。
現在もです。 それが今、海洋汚染が問題になり、海中、地上のすべての生物の生命を脅かしているのが現実です。 宇宙もやがて海と同様な情況を呈する可能性を秘めています。
この視野の狭い人間に対して、もっと謙虚になり大きく物事を考えられるようにならなければ、地球は破滅し、我々の生存できる場所がなくなりますよ、と言っています。
そういった考え方が出来るような健全な精神を育てるために必要なのが健康な身体です。
マクロビオティックの「食養」は、そんな健康体を作り上げるための食箋です。
三段論法ですね。
食養により健康になり、健康になれば健全な精神から正しい判断が出来るようになります。
正しい判断が出来れば、環境を守る必要性が分り、その手段も思いつくでしょう。
その行き着く先には、世界の平和と永遠のいのちが見えてくるはずです。
それがマクロビオティックの目的であり、原点です。