リウマチの知識

関節リウマチ患者にはシェーグレン症候群が合併しやすく、乾燥性角結膜炎によるドライアイもよく見られる。目の内側にリウマトイド結節が生じることもある。(関節リウマチ患者の20%程度がシェーグレン症候群を合併するといわれている。)上強膜炎や強膜炎が見られることがあるが、強膜炎を発症している場合は通常その他の関節外症状も合併していることが多く、血管炎の一症状である可能性があり、悪性関節リウマチの診断を念頭におかねばならない。(悪性関節リウマチは公費負担対象の特定疾患である。)


呼吸器
間質性肺炎、気道病変、胸膜病変、リウマチ結節、血管病変、睡眠時無呼吸症候群(顎関節病変、輪状披裂関節病変)などを合併することがある。その病型は様々であるが、原因としては関節リウマチそのものによる合併症、感染症、治療薬による副作用など多岐にわたる。


心臓
心臓超音波検査を行うと心嚢液の貯留を認めるが、これは関節リウマチによる心膜炎の所見である。心臓にリウマトイド結節を生じることもある。


消化管
関節リウマチ自体は消化管をおかさないが、慢性の炎症によりAAアミロイドーシスが生じることがある。また、リウマトイド血管炎による虚血性腸炎はおこる可能性はある。いっぽう、非ステロイド系抗炎症鎮痛薬による胃潰瘍は比較的よく起こる。


腎臓
関節リウマチ自体は腎臓をおかさないが、合併するシェーグレン症候群、ステロイドおよび非ステロイド系抗炎症鎮痛薬による間質性腎炎や金製剤・d-ペニシラミン、AAアミロイドーシスによる糸球体病変(膜性腎症が多い)がおこりうる。


神経
関節リウマチに伴い血管炎が生ずれば、それに伴い多発単神経炎がおこることがある。


皮膚
圧のかかる部位にリウマチ結節とよばれる病変がみられることがある。皮下出血などもみられる。


血液
重症の関節リウマチ患者においては、脾腫、白血球(好中球のみ)減少をきたしフェルティ症候群と呼ばれる病態を呈することがある。


検査

白血球増加、血小板増加、等の炎症所見が見られ、中でも特にC反応性蛋白(CRP)上昇、赤血球沈降速度亢進は活動性の指標となる。

リウマトイド因子(リウマチ因子、RAテスト、RAHA、RAPA)は陽性であることがほとんどだが、関節リウマチがなくても陽性となるし、だれでも高齢となるにつれて陽性の頻度は高くなるからこれをもって診断を確定することは出来ない。
また、活動性とは関連しないから経時的に測定することに意味はない。
リウマトイド因子高値自体は重症の関節リウマチであることを示唆すると一般に言われているが、証明されたわけではない。
より確実に診断につながる抗CCP抗体が、欧米ではリウマトイド因子と組み合わせて用いられており、我が国でも2007年4月より保険適応となった。
CA-RF(抗ガラクトース欠損IgG抗体)、IgG型リウマチ因子などもよく用いられている。
関節破壊の指標としてMMP-3が用いられる。

リウマトイド血管炎を発症すれば、補体が低下する。

フェルティ症候群を発症すれば、白血球その他の血球が減少する。


画像診断
単純レントゲン写真…描出ではMRIに劣るが、簡便であり現在も用いられる。
CT…滑膜、軟骨の描出でMRIに劣り、あまり用いられない。
MRI…しばしば関節のびらん・破壊のため用いられる。

診断
アメリカリウマチ学会(ARA、現在はACRと略す)の分類基準が、現在、関節リウマチの診断法として世界で一般的に使われている。

しかし6週間未満でこれに基づく確定診断は不可能であるので、早期に診断するには、発症1年以内の早期関節リウマチの診断を目的に作成された、日本リウマチ学会の早期診断基準を使用する。
この基準により、診断の感度は上がるが特異度は低下する。
早期診断基準では、全身性エリテマトーデス・混合性結合組織病・ベーチェット病・乾癬性関節炎・強直性脊椎炎などの関節炎を起こす疾患を除外せねばならない。

ARAの分類基準(1987年)
朝のこわばり(一時間以上持続する)
多関節炎(少なくとも3領域以上の関節の腫れ)
手の関節の腫れ
対称性の関節の腫れ
リウマチ結節
リウマトイド因子(リウマチ因子)陽性
レントゲン検査で典型的な関節所見
以上7項目のうち4項目以上を満たせば関節リウマチと診断される
近年、強力な抗リウマチ薬(特に抗サイトカイン療法)の登場によって、超早期の診断基準(関節のMRIや抗CCP抗体等)の確立が検討されている。


活動性の評価
関節リウマチの病気を治癒させることはいまだできないものの、近年、その病気の勢いを抑え込んで、関節を破壊させないようにする治療法は既に現実のものとなっている。その場合、治療を進めていくにあたり活動性を評価する必要があり、ヨーロッパリウマチ連盟(EULAR)の提唱するDAS28や、アメリカリウマチ学会のACRコアセットを用いた評価基準(ACR20、ACR50、ACR70)が用いられる。ACRコアセットは臨床研究を主眼に置いたもので、その判定法はかなり煩雑である。臨床の現場で用いるには、DAS28のほうが現実的な評価法である。


病期分類
「Steinbrocker Stage分類」により、最も進行した関節の単純X線画像・周囲組織所見からStage I~IVに分類される。


ADL分類
「Steinbrocker Class分類」により、患者本人からの話・生活状況から判断しClass I~IVに分類される。近年ではHAQ(Health Assessment Quessionaire)が用いられることも多い。


治療
現在の治療指針では関節リウマチの診断がついたら、出来るだけ早期に抗リウマチ薬(DMARDs)を用いることが推奨されている。痛みに対する対症療法として非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)などを用いる。


DMARDs
関節リウマチの病気の勢いそのものを弱める薬として、メトトレキサート(リウマトレックスR)がはじめてEBMにのっとって効果がある薬と示された。
さらにはスルファサラジン(アザルフィジンR)、ブシラミン(リマチルR)、レフルノミド(アラバR)、ミゾリビン、タクロリムス(プログラフR)が使用可能である。
欧米では抗マラリア薬であるヒドロキシクロロキンもよく使用されるが、日本では適応がない。
免疫抑制薬であるアザチオプリン(イムランR)、シクロスポリン(ネオーラルR)も効果が示されているが、日本国内では適応はない。

DMARDsの特別な役割を理解するには、それまでのリウマチ治療の概念を理解しなければいけない。
そもそも関節リウマチとは原因不明の疾患であって、関節が破壊されていくことを防ぐことはできず、ただただそのとき生じる痛みに対して対症療法を行うしかないと考えられていた。
だから病歴が長く、体中の関節ががちがちに強直して寝たきりになった患者がいても、それは不十分な医療によるものではなく、むしろ医療の限界といえるものであった。
それがDMARDsの出現によって、関節破壊の進行を遅らせることができるようになった。
メトトレキサートの登場によって、関節リウマチの治療は180度の転向があったと言え、それはまさに抗TNF-α療法をも凌駕するほどのインパクトであった。



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