治療薬のいろいろ

ステロイド

そもそもフィリップ・ショウォルター・ヘンチらが1950年代、世界ではじめてステロイド(糖質コルチコイド)の一種であるコルチゾンという物質を治療目的で関節リウマチ患者に投与したのである。
これはまさに奇跡的な効果を発揮したと伝えられており、ステロイドの歴史は関節リウマチとともに始まったと言えるし、逆に関節リウマチの治療の歴史もステロイドとともに始まったのである。
ヘンチはこのことでノーベル生理学・医学賞を受賞している。

ここしばらくのあいだ、DMARDsの疾患の進行を遅らせる効果が注目されていて、ステロイドにはそれはないとされた。
ステロイドはしばらく、NSAIDsと同様の対症療法の薬として扱われていたのである。
DMARDsのD(Delayed)がステロイドとの比較でつけられたことからもわかるとおり、治療効果の発現は圧倒的に早いので、急性期に中等量用いられる程度のものであった。
ステロイドは病気の進行を遅らせることはなく、副作用は強いので、維持的に投与すべきではないとされた。

今世紀に入って、これらの見方に転換が迫られている。
臨床試験の結果、ステロイドもDMARDsと同様に、病気の進行を遅らせる効果を示すことがわかったからである。
また、DMARDsのみよりもDMARDsにステロイドを加えたほうが病気の進行をさらに遅らせるという研究結果も報告され、懐疑的意見も強いものの、ステロイドは再び注目を集めている。


抗サイトカイン療法

インフリキシマブ(レミケードR)、エタネルセプト(エンブレルR)は新しく開発された薬で、これまでの製薬との違いとして、はじめからある機能を担うことを狙ってつくられた「分子標的薬」であることがあげられる。
これらはリウマチに対してきわめて強力な治療効果を示し、リウマチの診療そのものの姿を変化させつつある。そのほか国内では、すでにキャッスルマン病に承認を獲得した国産薬のトシリズマブ(アクテムラR)が関節リウマチの適応について認可された。
一方欧米で承認されているアナキンラは日本では承認申請が行われていない。
インフリキシマブの弱点(抗体産生を惹起し徐々に効果が少なくなる)を克服したと言われるアダリムマブは欧米で使用可能である。
日本でも上市された。(製品名: ヒュミラR)


その他の研究段階の新しい治療法

そのほか、悪性リンパ腫に効果のあるリツキシマブ(リツキサンR)、抗生剤であるテトラサイクリン、高脂血症治療薬であるスタチン、多発性骨髄腫治療薬であるサリドマイドの効果や、造血幹細胞移植の効果も検討されている。
分子標的薬剤としてアバタセプトは米国では承認されている。


疾患そのものを治癒させることは可能か

他のリウマチ性疾患と同じく、原因そのものをなおす治療法は存在しない。
しかし、最近の知見では発症早期(5年以内)からの抗サイトカイン療法によって、30~50%の症例で臨床的寛解(DAS28<2.6)が得られる事が分かってきており、なかでもインフリキシマブ(製品名: レミケード)においては、臨床的寛解に突入後、一定条件を満たす事ができれば投与を中止しても臨床的寛解がその後も持続する事が確認されている。
この抗サイトカイン療法の中止に加えて、その他のDMARDs、ステロイド等を含む全ての治療薬を中止できた状態は「真の寛解」と呼ばれ、数年後の治療目標とされている。


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